あしたまにあーな

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坂の上の雲 第7回「子規、逝く」

2010年12月 12日 By: rainbow Category: 坂の上の雲 No Comments →

これまで3人が明治という荒波の時代をどのように生き抜いていくかをテーマとしたドラマの中で、重要な一人である正岡子規が亡くなります。これまで東京・根岸の病床六尺と言われていた子規庵で様々な執筆活動を行ない、いつも人々が集まる場所でした。それによっていつでも暗くならずに済んでいたのかというと、そうでもないようで、やはり苦しいときは死んでしまいたいと思ったといい、見ている方もその苦しみに胸が締め付けられるようでした。

それでも、必死に執筆活動を続けてこれた原動力はどこにあったのでしょうか。秋山真之が訪ねてきたときに、二人はお互いの顔を覆いながら抱き合ってその苦しみを分かち合おうとしていました。いつだって子規にとって苦しみを吐露することができる存在は真之以外にはいなかったのでしょう。律を演じた菅野美穂さんによると、本木雅弘さんと香川照之さんはお互いに同い年で普段から仲がいいそうです。そんな関係が、演技の中でもプラスに働いていることは間違いありません。

正岡子規の最期を近くで看取ることができなかった真之は、そのやるせない気持ちからなのか、子規の葬儀には出席せずに遠くからあいさつをするだけにとどめます。この時、子規に対して真之はどのように思いを伝えたのでしょうか。

考えてみると、坂の上の雲というドラマが展開される明治時代を舞台にしたとき、その多くは戦争や政府などの政治的な側面がどうしても多くなってしまいます。それに対して、坂の上の雲のよさは、正岡子規という文豪を物語の中に交えることによって、全体的に他の類を見ない時代全体を感じることができる内容に仕上がっているのだと思います。そういう意味で、正岡子規という存在がいかに大きかったのか、改めて感じます。

子規の死後、自分の時間を持つことができるようになった律は30を過ぎて学校に通います。これからは自分の時間を持つようにしたいと強く願うその姿は、現代のキャリアウーマンにも通じるものがあるのではないでしょうか。彼女がこの先、どのような人生を歩んでいくのか、これから演出はあまり多くないとは思いますが、楽しみにしたいと思います。

一方、真之は海軍大学校に新たに設けられた戦術講座の初代教官になるなど、海軍人としての地位をどんどん上げていきます。たくさんの本を読みふけったという真之の仕事面はまさに完璧であり、連合艦隊参謀への道をどんどん突き進んでいくのです。

そんな真之の今回の最大のニュースといえば、稲生季子との出会いでしょう。出会った瞬間に一目惚れしたという二人は、見ているこっちが恥ずかしくなるほど誰にでもわかる様子。真之が入院した際にもお見舞いに登場し、やってきた律がこっそりと帰るほど。実は律と真之は結ばれるのではないかと思っていたので、かなり自分の中では意外な展開でした。でも、一目惚れなので、次回は見事結婚となるようです。これで、松たか子さん演じる多美にお小言を言われなくても済むようになりそうです。

その旦那である好古は、清の国で男前な清国駐屯軍司令官となっていました。自らつるはしをもって道の工事をする素敵な面や、訪問した袁世凱と酒を酌み交わし親交を深めるなど、順風満帆の駐屯生活です。まだ彼が思いきり動くのは先のようです。

それにしても、子規を演じる香川さん、本木さん、阿部さんを始めとしたキャストの迫真の演技は見る者を、話の中に吸い込ませてくれます。子規庵での香川さんの苦しみと思い、本木さんの海軍大学校での「無識の指揮官は殺人者なり」と叫ぶシーン、阿部さんの袁世凱との馬での対決とそのあとのシーン、どれも吸い込まれてしまいます。

そしてそれをバックアップする演出の数々。力が入っている番組を見ると、余計なことを一切考えずに物語や主人公の心の動きに集中することができるということを実感できる作品といえるでしょう。次回がどんどん楽しみになります。

 

 

坂の上の雲 第6回「日英同盟」

2010年12月 05日 By: rainbow Category: 坂の上の雲 No Comments →

約1年ぶりの再開となりました坂の上の雲で、時間が空いてしまったことのフォローとしてNHKもゴールデンタイムを使って昨年の再放送を繰り返していました。自分もすべてを見ることができませんでしたが。頭を龍馬伝から少しずつ変えることができ第2部の初回を迎えます。

第1部で秋山好古、真之、正岡子規の3人の松山からの生い立ちとそれぞれの進む道について語りましたが、第2部ではすでに3人の道は全然違ったものとなっているためお互いの絡みはほとんどありません。なので、第2部からの見方としては3人のつながりというよりも出身が同じ3人がそれぞれどのように近代日本を生きていったのかを純粋に楽しんだ方がいいのかもしれません。そんな気持ちで第2部から臨みたいと思います。

物語は真之と広瀬武夫の2人がイギリス・ポーツマス港でイギリスが建造し日本が購入した戦艦「朝日」の見学のシーンから始まります。日本が帝国主義になって軍拡するためには国民の必死の税金がなくてはどうしようもありません。そのことを強く思いイギリスの人々に断言した広瀬は、相当有能でありリーダーとしてふさわしい人であったのだと思います。

そんな広瀬はロシアでの駐留6年間の間で、ロシアの人々に心から尊敬され仲間として受け入れてもらっていました。日本の武士の精神をアリアズナに説く姿は彼の誠実さをうまく表現しているようです。もちろん実際の彼がどのような人物であったのか自分は知りませんが、義理と人情に厚い人柄であり愛されるべき人物だと感じた人は多いのではないでしょうか。

ロシアは、極東の奥深くまで迫っており危機感を感じた伊藤博文がロシアにやってきた際にも広瀬は勇気を持って伊藤に現実を伝えます。結果として信じてもらえませんでしたが、結果として真実を伊藤に伝えることができたのです。

そのロシアの様々な場面は実際に撮りに行ったと信じて疑わせないほどのクオリティの高い映像ばかりでした。とくにロシア正教会と宮殿の様子は1つの芸術作品を見ているかのような錯覚を覚えるほど。そんな映像の演出について見どころとしてNHKのWebページに書かれている内容がすごく面白いので、是非見てみるといいと思います。

その頃の好古は、中国・北京に出征しロシア軍が略奪を繰り返している姿を目の当たりにします。今回セリフは数える程度でしたが、ロシア軍が行なっている行為を目に焼き付け、今後の好古の行動に何らかの影響を与えたに違いありません。その結果がどうなるのか、それはあとの話に回しましょう。

真之と正岡子規は、久しぶりの再会でしたが、やっぱりこの二人が仲よさそうにしていると見ている方も嬉しくなります。香川さんの弥太郎像がまだ抜けずに、どこかで笑いがあるのではと思ってしまいますが、最後までそれはありませんでした。当たり前ですが。

時代は伊藤がロシアとの協力に失敗し、竹中直人演じる小村寿太郎が中心になって進めた日英同盟が実を結び、確実に戦争の道へと突き進んでいきます。世界の仲間が祖国のために戦わなければならないことにやむを得ないと諦め、争う心の葛藤に注目していかなければならないようです。

 

 

龍馬伝 最終回「龍の魂」

2010年11月 28日 By: rainbow Category: 2010年_龍馬伝 1 Comment →

一年間このドラマをずっと見てきた思いを胸に始まる前から早くもくるものがありこの調子ではこの先どうなってしまうのか思いやられる状況のなか始まりました。歴史の中で自分たちは近江屋が暗殺の舞台になったということを知っているので、龍馬には早くその場から逃げて欲しいという思いがありましたが、龍馬はいつものように近江屋の周りで落ち着いています。

さらに近江屋を中心として、新政府綱領八策を書き上げ各藩に送り、越前にいる松平春嶽のもとに実際に行って説明までします。誰もが龍馬の書いた「○○○」に誰が入るのか疑心暗鬼になり始めます。ここまで龍馬の動きが気になるのは龍馬という存在が日本にとってかけがえのない大きな存在になっているからでしょう。薩摩や長州にも届いたのですが、今回土佐藩の山内容堂がどのように感じたのか最後まで分からなかったのは残念です。彼や後藤象二郎はどのように感じたのでしょうか。

その龍馬を暗殺しようとする面子の一人に市川亀治郎がいるのに驚きました。暗殺者はなんだか顔を隠してあまり目立たないのですが、なぜか露出が多いなと思っていたら亀治郎さんでした。風林火山の武田信玄以来の大河ドラマ復帰、といってもたった数十分の場面ではありますが。短いワンポイントといえども、弥太郎に思いを語る場面は思わず息を呑んでしまいました。さすが役者といえる演技で、顔の表情だけでこれまで抱いてきた無念を感じ取ることができます。香川照之さんと二人で濃密な迫真の演技の時間でした。

龍馬を暗殺した人に関しては様々な説があるようですが、今回は見廻組の今井信郎を中心とするメンバーによるものとして物語をすすめています。ほとんど即死だったという「その時」ですが、龍馬は思いの外意識をもって中岡と話をしています。自分ができることは十分できたという思いはどこかにあったのだと思いますが、その後のプライベートの思いをことごとく実現できなかったことが龍馬にとって心残りだったのだと思います。

そんな龍馬と物語の中で密接に関わってきた岩崎弥太郎ですが、最後に再び人情的な思いを龍馬にぶつけます。自分が龍馬を信じてしまったがために稼いでしまった5000両を龍馬に返すといいながらも、龍馬は弥太郎に自分にはできない日本一の会社を興して日本中の人々を幸せにするために使うように説得し、「達者でのう」と送り出します。それが最後でした。嫌な予感がして走って龍馬に会いに来る弥太郎は、やっぱり泥まみれになっていて最後もずぶぬれ状態。最後の回想シーンの後に亡くなるのですが、目も半開きで笑いながら逆さまになってなくなっていきます。すごい最期でした。始めから最後まで体当たり演技でした。香川さん、本当にご苦労様でしたといいたいです。次の坂の上の雲でももうすぐ亡くなってしまいますが、がんばってほしいですね。

この後、自分としては勝海舟と西郷の無血開城など龍馬に関わった人々がどのように龍馬の思いを受け継ぎながら明治政府を立ち上げ、時代を突き抜けていったのか知りたいという思いがありましたが、残念ながら実現しませんでした。その時歴史は動いた、ではないのですが、きっと多くの視聴者はそれを望んでいたのではないでしょうか。気になるので色々とこれから勉強していきたいと思います。

物語全体として、時代を駆け抜けていった坂本龍馬のそれぞれの場面での思いや影響を受けた人々の思いを知るいい機会となったことに対して、今回の大河ドラマに感謝したいと思います。自分としては大河ドラマの映像を全般的に光を抑えたようなものにするという斬新な手法も初めてで、新鮮な大河ドラマとなりました。

次回は、再び戦国時代に戻り浅井三姉妹の一人であるお江の生涯を描いた作品で、篤姫の脚本を手がけた田渕久美子さんのオリジナルとなるそうです。このあたりの時代を行ったり来たりしている印象がある大河ドラマですが、新たな物語を通して何を伝えたいのか、しっかりと見ていきたいと思います。

最後に、今年一年龍馬伝のつたない感想を読んでいただきありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。

◆龍馬伝紀行◆
京都府京都市
 - 坂本龍馬・中岡慎太郎像(京都霊山護国神社)
 - 近江屋跡
 - 坂本龍馬・中岡慎太郎の墓(京都霊山護国神社)
東京都千代田区
 - 三菱一号館
東京都江東区清澄
 - 清澄庭園
東京都台東区池之端
 - 旧岩崎邸庭園
高知県高知市桂浜
 - 坂本龍馬像