あしたまにあーな

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あしたまにあーな > 藤本隆宏


坂の上の雲 第5回「留学生」

2009年12月 27日 By: rainbow Category: 坂の上の雲 2 Comments →

今年最後の坂の上の雲となりました。次回は約1年も先になってしまうのでしっかりと覚えておこうとひとつひとつの場面を目に焼き付けるように見ることにします。日清戦争以降の明治、大正、昭和と続く近代史では、人によって様々な考え方があったり戦争の悲惨さがバックグラウンドにあることから、画面で見る時に背景やその後の歴史をどうしても考えてしまいがちになりますが、少なくともこの坂の上の雲を視聴する上では、そのようなことはなるべく考えずに物語に登場する秋山兄弟や正岡子規たちがどのようにこの時代を疾走していったのかを純粋に楽しみたいと思います。

今回は、秋山好古の登場場面は少なく餅食べ競争の場面と陸軍乗馬学校長として騎馬隊の育成に力を入れていた場面の大きく2つで登場するに留まりました。第2部では好古の活躍の場面がもう少し増えることを祈るばかりです。

真之は日清戦争で自分の部下が亡くなったことに対してずっと悩んでいましたが、周りの人々の言葉を胸に海軍に復帰します。復帰してまもなく親友で先輩である広瀬と共に海外へ留学生として旅立つのです。真之はアメリカへ、広瀬はロシアへと向かうのですが、今でも海外への留学といえば大変な思いをする必要があるのに、この時代の人々の留学はそれをこえる苦労があったのでしょう。しかし、それでもこなすことができるのは志を強くもって日本を支えることができるのは自分であると強く思っていたからでしょう。

キューバとの争いの中でロシアからの留学生よりも多くの戦術を学び取っていたことを強く印象づける演出となったのは、本当にそうだったのかそれとも後の日露戦争の結果を意識してのことだったのかはわかりませんが、この場面で真之が作った資料が後世まで重要なものとなったというのですから、なんだかリアルタイムに見ていた自分まで嬉しくなるような気分です。その他、高橋是清先生からは原住民の扱われ方などから将来の日本の姿を重ねたアドバイスをもらい、人間的に大きく成長することができたアメリカ留学になりましたね。

広瀬もロシアで片岡鶴太郎が演じる八代六郎と出会い、ロシア軍の状況を把握し活躍していきます。舞踏会では難しい場面でしたが紳士的な態度も好感を得る結果となります。この舞踏会の場面も気合いが入っててリアルに描かれていますね。お金かけているなと世俗的なことを思ってしまいます。

こうして世界を駆け回る真之がいつも気にしていたのが正岡子規でした。子規の状況は益々悪くなっていってしまうのですが、それでも精神的には本当に充実していて、台詞ひとつひとつに本当に重みがあります。歴史にタラレバは禁物ですが子規がもっと長生きすることが出来ていたのであれば、日本文学においてもっと貢献することができたのかもしれません。根岸の小さな借家から世界中に思いを巡らせていた子規の思いの強さと、自分が成し遂げたことを無駄にするようなことはしないでくれと真之に頼む姿に思わず涙してしまいました。この先が長くないからこそ、自分が出来ることを冷静に考えて、一生懸命全力疾走していたのです。

それぞれ3人が自分の進むべき道を見極め走り抜けてきたことによって、ひとつの生きてきた証をそれぞれが記すことが第1部で出来たような気がします。きっと第2部ではこれを礎にしてもっと高みを目指していくのでしょう。子規の病気、真之の海軍での活躍、好古の騎馬隊の育成と成果など第2部に向けて見どころは盛りだくさんです。そこまできちんと覚えていられるように、次までに原作を読んで勉強をしておきたいと思います。


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坂の上の雲 第2回「青雲」

2009年12月 06日 By: rainbow Category: 坂の上の雲 2 Comments →

物語は本当に速いスピードで進んでいきます。こんなに内容の濃い物語なのにこの速度で話を進めるのがすごくもったいないような気がします。ひとつひとつの場面は非常に良く作られていてすばらしいものなのですが、その展開が急なので着いていくのが精一杯で登場人物の間のつながりを深く見ることができないのが非常に残念です。

今回は、好古、真之の兄弟と常規が自分たちの夢を追い求めて次第に進路を決定していきます。好古は陸軍大学校でエリートを進みつつ、フランスへ留学することになります。真之は勉強して入学した大学予備門を退学して海軍兵学校へ入学します。今の時期でもあるような「自分が将来何を目指すべき何だろう」という悩みに悩んだあげくに見つけた道です。将来何をしたいのだろうという疑問に悩み、そしてどのように見つけたのかをもう少し詳細に描いてくれるとよかったのですが、そのあたりは小説を読んでくださいということなのかもしれませんね。最後に常規は大学予備門から俳句や小説といった文学分野へ傾倒していきます。

真之と常規の友情は見ていて本当にすがすがしかったです。大学予備門の時も共に野球をしたり、机を並べて共に勉学に励んだりしながらお互いが切磋琢磨していましたが、進むべき道が異なったとき、二人は別れることになります。手紙一つで常規に別れを告げた真之と、それを笑って励ます常規の姿に思わず涙してしまいます。お互いに本当に成功して欲しいという想いが伝わってくるいい場面でした。香川照之さんの演技もすばらしいですね。イケメンではないのですが、味があって深みがある演技を見せてくれます。周囲が大物俳優のなかにあって、全く劣っていないのがなんだかうれしくもあります。俳優といえば、小澤征悦も出てきて篤姫の時の西郷隆盛を思わず想像してしまいました。

3人がそれぞれの道を歩み出し、そしてプロフェッショナルになっていって次回につながるのですが、最後の一つのナレーションがこの時代の良さを表しています。それは、この時代が何でもできるということ。規模が小さい分、実力がある者はすべてを任せられ大きなスケールの仕事を自分で作っていくことができるという男としてかっこいい生き方をすることができること。その内容が結果的に日本を不幸なものにしてしまったのですが、それはあくまで結果論です。この時代の若者が全力で自分を出し切ることができるのがなんだか羨ましくもあり、自分もそうありたいと強く感じます。次回以降の成長が楽しみです。


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