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小宮一慶の”社長力”養成講座

2009年11月 14日 By: rainbow Category: ビジネス No Comments →

慶應丸の内シティキャンパス定例講演会「夕学五十講」は、毎回時代の最先端を行くプロフェッショナルな講師を迎え多くのことを学ぶことができる社会人にとって非常に便利な講演会です。自分も何度も受講し、その度にほんの少しだけ物事が分かるような、そんな感じになることができます。今回の講師は経営コンサルタントであり現在様々な書籍でベストセラーを頻出している小宮一慶さんです。前々からこの人が講演会に登場してくれることを切望していました。小宮さんの書籍を読んでいただければ分かると思いますが、とにかく目から鱗のような新しい発見を次々にすることができ、それを平易な文章で示してくれているので理解も早くなるのです。そんな小宮さんの講演について紹介したいと思います。

◆正しい努力を積み重ねる
勉強をよくする人でもその効果をうまく出せないことがあります。それはその勉強方法が正しくないからです。「正しい努力」、そしてそれを「積み重ねる」というふたつのキーワードが揃って始めて成果を出すことができるのです。一つの例として経営を勉強したい人が経営学を学んでいても成果が出ないということがあります。

経営と経営学は違うのです。経営学とは過去の事例を分析してその要因を学ぶことですが、経営は過去ではなく、今意思決定をして未来に向けて働きかけるものです。経営するのに、経営学は使えるときもあれば使えないときもあるのです。過去と未来は異なるのですから、当たり前ですよね。そういう意味で経営を学ぶためには、経済学と心理学を勉強すべきだと小宮さんは語ります。心理学を学ぶことによって人の気持ちが分かるようになるのです。

◆毎朝新聞を読もう
これは、小宮さんの本にはよく出てくるのですが、新聞を毎朝読むことによって中長期的な動向を知ることができます。そうすると、今の状況がどの位置にいるのか大局的に判断することができるのです。新聞は面白い記事がたくさんある裏面からではなく1面から読むことを勧めています。自分もこれは実践しています。

◆関心を持てばものが見えてくる
『「発見力」養成講座』で出てくる話ですが、セブンイレブンのロゴの最後は小文字になっている「n」なのを知っているか、という問いかけから始まり、関心を持つようになれば物事は見えてくるのです。そうやって関心の範囲を広げていくのですが、それだけではなだめで、なぜそうなんだろうと仮説を自分なりに立ててみることまでして完成の領域に入ります。

◆いい会社の見分け方
就職セミナーでの講演会で小宮さんは、就職活動中の学生にいい会社の3つの見分け方を説明したそうです。学生がその会社の社員に3つの質問をするだけでその会社の善し悪しが分かるというのです。以下その3つの質問を示します。
1.御社の一番の大きな取引先はどこですか?
 →この答えに、社員は取引先を「さん」づけにしているか。
2.御社のビジョンは何ですか?
 →何らか答えることができるか。
3.ルンルン気分で会社に来ていますか?
 →Yesと答えられるか。
いい仕事をすることによって、周囲から喜ばれ感謝されます。その結果として給料や地位も上がるのです。この順番が逆になってしまうと会社はつまらなくなってしまうといいます。いい仕事をすることを目的にしようと小宮さんは言います。

◆リーダーとして大切なこと
リーダーは時に部下を叱ることも大切です。言ったらかわいそうというのは甘えでしかないのです。相手を叱るということは勇気とエネルギーを必要とします。この勇気とエネルギーを得るためには、自分の中に確固とした信念を持つ必要があるのです。信念を持つトレーニングとしては論語などのように長く語られてきた本を読んだり、松下幸之助さんや稲森和夫さんなどの天才経営者の言葉を学ぶといいとアドバイスしています。

全体を通して小宮さんは「お客様志向」の大切さを何度も繰り返します。頭で自分の中で独りよがりになるのではなく実際にお客様の声を聞くという謙虚さを忘れないこと、そして自分の土台を作るために色々と勉強してみることです。そうして自分が積み重ねた経験をもとに語る内容は相手に必ず伝わるのです。

また、仕事は常に相手に喜んでもらえるように考えながら一生懸命に頑張ってみる姿勢が大切であり、そうやって相手のために尽くすことによって、「いい仕事」になるのです。いい仕事はプラス思考の考えをもたらし、結果もおのずとついてくるようになるという相乗効果を生むことができることを学びました。世の中を知り自分を高め、喜ばれる仕事ができるようになりたいと強く感じた大変有意義な1日となりました。


どんな時代もサバイバルする社長力養成講座

意思の弱さを改善しよう

2008年7月 11日 By: rainbow Category: ビジネス No Comments →

自分は意思が弱い、はじめに決めたことが守れない・・・

自分も含めて、そういう人はかなりいると思います。そこで様々な意思決定論に関する本を読んで初志貫徹する強い志を持つにはどうしたらいいかを必死で勉強しようとします。そのほとんどの本には、次のようなことが書いてあるんですよね。

・自分のことは自分が一番分かっている。なんで、何かを意思決定したときに、どうしてその選択肢を選んだのかをちゃんと説明できる

・日常の些細なことは別としても、人生の重要な意思決定をするときには、理論的、合理的に行うべき

・自分にできないことを意思決定しても仕方ない。自分にできることを意思決定すべき

なるほどって思ってしまい、なんの疑問も感じないんじゃないでしょうか。

でも、首都大学東京の長瀬勝彦教授の話を伺って、その考え方が誤っていることに気付かされます。

自分のことなんて、分かっているつもりで実は分かっていないことが多く、他人の方が自分のことを分かっていることが多いんですよね。なので血液型の本が売れている要因もこう言うところが影響しているんだと思います。

しかも、自分では理性的に判断しているようで、そうでもないそうです。実は、無意識が判断していることも多く、実に多くのことを判断してくれているのです。

しかし、無意識も万能ではなく欠点もあります。それは、早とちりをしがちだということ、融通がきかないこと、基本的に短期志向であることが挙げられます。無意識は、すぐ先のことの判断には本当に優れています。しかし長期的な判断には不向きなんです。

世の中の本に、上記のような合理的な判断が大切と説いているものが多く存在しますが、長瀬教授は合理的な意思決定が有効なのは、特定の場面に限られると言います。これはかなり衝撃的な意見でした。しかも、合理的な判断が有効ではないだけでなく、時に有害になったりもするそうです。

例えば、イチゴジャムが5つあっておいしい順に並べるとき、理由を付けてランク付する場合と、理由なしでランク付した時とでは、圧倒的に理由を付けない方が専門家の感覚に近くなったそうです。むやみに分析すればいい結果を生み出すわけではないのです。

つまり無意識な判断も、自分の中でその欠点も理解しつつ、意識的な判断と共に使ってあげることによって、よりよい判断ができるというのが結論になります。

この無意識の判断をうまくビジネスに結びつけている例として、九州新幹線の部分開通があげられるそうです。九州新幹線は博多?鹿児島を結ぶのですが、普通に考えれば既に開通している博多から着工すべきだと思います。しかし、鹿児島方向から部分開通しているのは、「ここまで作ってしまっては、途中でやめるのはもったいない」という無意識の心理をついた動きだと、とある政治家が語っていたそうです。

このように、これまでにつぎ込んだ資金田努力を無駄にしたくないと考えて合理的な判断ができない傾向を「埋没コストの錯誤」と呼ぶそうです。

無意識の意思決定の欠点が露呈してしまった結果なんですが、こういうものを意識が抑えて行く必要があります。

個人レベルでも、時に無意識は同じような問題を引き起こしてしまいます。例えば、「ダイエットを誓ったけど、次の日にはケーキを食べちゃった」「入試で勉強しようと決意したのに、つい遊んじゃった」こういうのを意思が弱いって言われるんですが、長期的な意識の判断は有効と分かっているんですよね。でも、長期的な意思決定の力はすごく弱いそうです。無意識の短期的な意思はすごく強く融通が利きません。

このほかの例としてすごく興味深かったのは、アメリカで行われた幼稚園児へのマシュマロテスト。

「今すぐ1個あげるよ。でも20分待てば2個あげるよ。いつでも言ってね。」といった場合、待った園児、すぐにもらった園児がそれぞれいたそうです。その園児を追跡調査した結果、我慢して2個もらった園児の方が、総じて聡明になったそうです。

人間は目先の無意識の判断からくる欲望に弱いものです。でも、その先には意識が判断した合理的なものがあります。

自分たちは、短期的な無意識の判断の弱さを分かった上で、この場面で従っていいか、ダメなのかを振り返ってみる必要があるといえます。そこで、無意識の判断を信じることも時には大切です。しかし、長期的な視野にたって行動する必要がありそうだと思ったら、我慢して抑えようと頑張らないといけません。

今回のセミナーで、合理的でなくても意思決定ができること、それを肯定していることに感動しました。そして、無意識の判断の弱さを改めて感じつつ、うまく使い分けていきたいと思います。

【参考】夕学五十講 長瀬勝彦 「働く人のための意思決定論」より

意思決定のストラテジー―実験経営学の構築に向けて 意思決定のストラテジー―実験経営学の構築に向けて
(1999/11)
長瀬 勝彦

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