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温暖化がゴリラを絶滅させる

2010年1月 17日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

地球温暖化に向けた取り組みがCOP15を始めとして世界的に進められていますが、そんな中でも少しずつ自分たちの見えないところである動物の絶滅に向けた死のロードが作られていることが最新の研究で明らかになったのです。その動物とは動物園でおなじみのゴリラです。

イギリス・ボーンマス大学の生物人類学者であるアマンダ・コースチェンスさんによると、ゴリラが日常食べている植物の性質が地球温暖化によって変化し、食べても消化されなくなってしまい結果として絶滅に至ってしまうというシナリオを導き出し、世界中に警告を発信しているのです。

一般に気温の高い環境で育った植物の葉は繊維質が多く、消化しやすいタンパク質が少ないので、その葉を食べる動物は消化に長い時間がかかるといわれています。また暑い状態では体温が上昇しすぎるのを防ぐために日陰で長時間過ごさなくてはならなくなってしまいます。このような状況になると、普段ゴリラたちがしている餌を探したり縄張りの見張りなどが出来なくなってしまい、行動が鈍りエサの栄養分が減ってきてしまうことから最終的には絶滅に至ってしまうと推測しています。

これらの推測は、20世紀半ばまでに年間気温が摂氏2度上昇すると予測されているモデルから考えたものですが、現状自分たちが手をこまねいて何も有効な手段を講じることができない場合にはあながち見当はずれの数字でもないと考えられています。

もちろん、これらの動物たちの環境適応能力によって食べるものを変化させても底から柔軟に栄養分を吸収し、生き延びるために生活パターンを変化させることによって絶滅を回避する可能性も大いにあると指摘する学者も多く存在しますが、確かなことは誰にも分からないのが現状なのです。

カナダ・モントリオールのマギル大学霊長類生態学者コリン・チャップマンさんによると、マウンテンゴリラは特に危機的状況にあると指摘しています。標高の高い地域に生息しているため新鮮な果実にほとんどありつけず、移動する当てもなくただ山頂に座しているだけになるのではないだろうかと考えています。

生きていくために高度に適応能力を備えた人間を中心に自分たちの生活の存続のみを考えていてはこのような問題に目を向けることはないでしょう。しかし、人間よりももっと多くの数がいる動物や植物が地球を支えているという事実を見つめ直したとき、環境問題に対する人間同士の利権争い等がすごくちっぽけな存在に思えてきます。自然にみんなか同じ方向を向けるような流れが今必要なのかもしれません。ゴリラの悲鳴が今自分たちに警告しているのです。

【参考】ナショナルジオグラフィック
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/

温暖化と生物多様性 温暖化と生物多様性
(2008/04/29)
不明

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星の砂が浸食される島を救う

2009年10月 20日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

沖ノ鳥島

東京から約1700キロメートル離れたところに日本最南端の島である沖ノ鳥島があります。誰も住んでいないこの島にも東京都小笠原村という地名が存在していますが、満潮時にも海面よりも上にあるのは東小島と北小島という小さな2つの島だけです。国連が定める海洋法条約での島の定義は「自然に形成された陸地で、水に囲まれ高潮時でも水面上にある」ことが示されていて、沖ノ鳥島はギリギリの条件を満たした島といえます。

この島の果たす役割は大きく周囲40万平方キロメートルという広大な排他的経済水域が広がっていて、海中の水産資源や海底の天然資源は日本のものになるので、この島を守ることは日本の利益を守るという観点からも非常に重要な課題といえます。しかし、この島は浸食が進んでいることから国は護岸工事を行い、小さな島を大きなコンクリートの岸壁でほぼ囲うことによって救ってきました。当面これで問題なさそうに見えたのですが、近年地球温暖化による海面上昇が各地で問題となっており、この沖ノ鳥島も例外ではなくなってきたのです。

この危機を救うために脚光を浴びているのが星の砂として知られる有孔虫の一種であるホシヅナと呼ばれる生物です。ホシヅナはアメーバに似た大きさが2ミリ程度の原生動物で突起つきの殻をもっています。石灰質の殻は死ぬと海岸に堆積して星砂の浜になります。これで有名なのが沖縄県の竹富島だと思います。沖ノ鳥島にいないこのホシヅナを他から移植することによって、星砂を大量に堆積させて自然の島を作る計画が進んでいます。東京大学の茅根創教授によると、数年から10年くらいでサンゴや砂を集めて島状にすることができるとのこと。生物による島の再生は今まさに始まったばかりです。

しかしそうも簡単にはいかない問題も抱えています。沖ノ鳥島は、地形上台風などが多く通る場所で、せっかく作られた砂やサンゴによる陸地も流されている危険性もあります。また、世界中の衛星からこの島の状況は監視されており、日本の動きを逐一目を光らせている現状もあるといいます。このような課題や状況を乗り越えて、自然に島を短期間で再生することができれば、ツバルのように世界中で海面上昇によって国土の存続に脅かされている国々はどんなに励まされることでしょう。星砂やサンゴによる島づくりは、日本だけの利益ではなく世界中の国を救う事業でもあるのです。

【参考】日本経済新聞 2009/08/23

日本人が行けない「日本領土」 北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記 日本人が行けない「日本領土」 北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記
(2007/05/31)
山本 皓一

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アラビア竜血伝説の島で起きた異変

2009年2月 02日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

竜血樹
中東にあるイエメン共和国。ここは海のシルクロードの要所として遙か昔から栄えてきました。このイエメンに、シンドバッドも立ち寄った場所があり、そこには竜の血でできた宝石「シナバル」があるとされてきました。その場所が、ソコトラ島です。

このソコトラ島には、ボトルツリーと呼ばれる瓶のように膨らんだ幹と可憐な花が咲く植物が生息し、砂漠のバラ”デザートローズ”と言われています。このように水分をためる太い幹をもった植物が数多く存在し、この島は植物のガラパゴスと呼ばれるほど植物の楽園が広がっています。

竜血樹もそんな植物の一つで、この木こそ冒頭に紹介したシナバルの秘密を解き明かす鍵をもっているのです。その竜血樹の森が広がっているハグハル山脈の麓にあるシュバホン村。ここは、年間降水量が250mmと非常に少ないにもかかわらず、竜血樹は立派に育っています。

海からの湿気のあるモンスーンが、ハグハル山脈にぶつかってその麓にあるシュバホン村は深い霧に包まれます。これが竜血樹を育んできました。竜血樹の不思議な形は、樹冠で霧を水分に変えて地面に落とし、それを樹が吸収しているのだと言われていてその形には理由があったのです。

その竜血樹の幹から村人であるアブドラ・サードさんが削りだしているのがシナバルです。赤い宝石の正体は竜血樹の樹脂だったのです。このシナバルは古くから万能のクスリとして消炎や止血に、そしてニスとしても利用されてきました。その歴史は古くローマ帝国や中国でも利用されていた記録が残っています。

当然、シナバルは貴重な現金収入の元になり乱獲になってしまう危険性もあるのですが、シュバホン村には大切な掟があります。それは、樹脂を取ったら2年間はその木を休ませるというルール。これによって、乱獲を防いで来ました。

ところが、ソコトラ島での均衡を崩してしまった出来事が2008年に起こりました。それは、ソコトラ島の豊かな自然から2008年7月に世界遺産に登録されたこと。それと共に世界中から多くの観光客が訪れるようなりました。

島の中心街などで多くの観光客がシナバルを様々な理由で購入することによって樹脂バブル状態になり、それと共に売り手が急増して、供給過多によって仕入れ値の減少を引き起こす結果となってしまいました。村の中にも掟破りがいるのではという疑いが生まれ始めます。

そうやって村人が議論している間に、事態はより深刻な状況へと進んでいたのです。なんとこれまで稼ぎのもとであった竜血樹が次々と枯れ始めてしまったのです。村人であるアブドラさんは、「太陽が沈んでいく・・・竜血樹が枯れていく・・・・」と嘆きの歌を歌います。まさに村人にとって危機的な状況に陥ってしまったのです。

この問題に対して、ソコトラ環境保護期間(EPA)のナディーム・タレブさんは、村に霧が減っているのが原因だと指摘しています。桐が減ってしまった原因は、地球温暖化でした。村の地表温度が上がり、上昇気流が発生してしまったため、山脈のはるか上の方で霧が出るようになってきてしまい、その結果として竜血樹が水分を吸収することができなくなってしまったのです。

このままでいくと、あと30年で消えてしまうでしょう。それを早速ナディームさんは村の人に伝えます。これまで地球温暖化について考えたこともなかった村人は、深い悲しみの中で「変わりになる樹なんてないんです。」と訴えます。このままでは子や孫の時代に竜血樹が消えてしまいます。アブドラさん達は、早速竜血樹の苗木を植えることにしました。

世界遺産登録によるシナバルブームも、環境問題が解決されて初めて成り立つこと。日本からはるか離れたこの場所へも、自分たちは大きな影響を及ぼしているのです。

【参考】素敵な宇宙船地球号 2月1日

旅行人 2005年冬号 イエメン 徹底ガイド完全保存版 旅行人 2005年冬号 イエメン 徹底ガイド完全保存版
(2005/01/25)
佐藤寛/小松義夫

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