あしたまにあーな

毎日の生活に ほんのちょっとのうるおいが 届きますように


あしたまにあーな > 北大路欣也


江 -姫たちの戦国- 第36回「男の覚悟」

2011年9月 18日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

前回と今回の間で、いつの間にか終わってしまった関ヶ原の戦い。ナレーションなどでも天下分け目の大戦であることをいたるところで強調していたにも関わらず、実際の戦のシーンは10分程度で終わってしまった感じがします。最も印象深く描いていたのは秀忠が関ヶ原に間に合わなかったという事実でした。

今回、最後まで見てきてなぜ作者が秀忠の失態ばかりに目を向けていたのかようやくわかったような気がします。それは、秀忠が関ヶ原の戦いによってつらい思いをして、多くの兵を犠牲にしてしまったことを通して人間的に成長した様子を描きたかったのです。本多正信があからさまにそのことを話をしていますが、精神的に大人になった秀忠は、江戸に戻ってきて女中・なつが秀忠の子を産んだ事実にショックを受けている江に優しく接することができる男に変わっていました。

逆に江の観点から見ると、より魅力的な旦那様になって幸せを感じているのだということを作者は伝えたかったのでしょう。そう考えると、関ヶ原の戦いも江の精神的な安定を強調する一つの出来事のように思えてきますその大きな流れの中で、石田三成の死はあまりにも小さい出来事のように思えます。無念さや悲壮感も感じられず、扱いもかなり小さかったのではないでしょうか。

しかし、今回の物語の中心が江である以上、このような書き方になってしまうのは仕方ない面もあります。その脚本を受け入れるのかどうかは、かなり個人差が出てくるのではないかと思いますが、少なくとも今までのの小穴大河ドラマファン層にとっては、歴史の大きな場面をことごとく軽く扱う今回の作品に不満もあるのではないでしょうか。

なので、もう少し考え方を変えて、歴史ドラマとしてとらえるのではなく、一人の女性の物語なのだと考えてみるといいと思います。江にとって大きな出来事は、自分の周りにいる人々の感情であったり、親族であったり、そういった思いがどのように紡がれていくのかなのです。今回は、女中によって離縁まで思い詰めてしまう江が、関ヶ原で大きくなって帰ってきた秀忠に救われ、さらなる幸せを感じることが大きい内容なのです。

次回は、千姫として芦田愛菜さんが再度登場します。周りの子役以上に多くのセリフがあって少し浮き気味だった茶々の子供時代の演技が再来する可能性が大で少し不安ではありますが、江がどのような感情の変化を起こすのかに観点を絞って見ていきたいと思います。

個人的には、家康が大津城で秀忠になかなか面会しなかった理由を語ったシーンが印象深いものとなりました。上に立つものとして、筋を通さなければならないという理由であることが述べられており、決して怒っていたからではないという解釈でした。諸説がある部分なので、新鮮な思いで見ることができたのではないでしょうか。
◆江紀行◆
岐阜県関ヶ原町
 - 関ヶ原古戦場 決戦地
 - 徳川家康最初陣地(桃配山)
 - 笹尾山
 - 石田三成陣地
 - 東首塚
 - 西首塚

【21%OFF】[DVD] 江?姫たちの戦国? 完全版 第壱集

【21%OFF】[DVD] 江?姫たちの戦国? 完全版 第壱集
価格:34,839円(税込、送料別)

【21%OFF】[DVD] 江?姫たちの戦国? 完全版 第弐集

【21%OFF】[DVD] 江?姫たちの戦国? 完全版 第弐集
価格:29,862円(税込、送料別)

浅井三姉妹…茶々、初、江の入浴剤登場!【入浴剤】浅井三姉妹 壱の姫?茶々の湯?

浅井三姉妹…茶々、初、江の入浴剤登場!【入浴剤】浅井三姉妹 壱の姫?茶々の湯?
価格:210円(税込、送料別)

江 -姫たちの戦国- 第35回「幻の関ヶ原」

2011年9月 12日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

ほんわかムードで、大姥局の火の用心シーンに圧倒され「すごいのぉ」の一言しか出てこない場面から始まる今回は、まさかこの後に関ヶ原の戦いが繰り広げられるとは思えないほどの雰囲気です。相変わらず、どの場面に力を入れたいのはよくわからず、色々重要な場面を取り繕って一つの物語にしている感が否めません。

例えば、小山での家康の大芝居については、秀吉恩顧の大名を自分の方につけられるかどうかがかかった大きな出来事なのですが、家康の言動からそのような感じはせずに、その裏で色々と策を巡らせたであろう本多正信もおとなしいまま。

今回登場してきた真田幸村も突然登場した感じがします。今回の内容自体を江と深い関係のある秀忠に注力するのであれば、江の写経シーンや大姥局と一緒になって護衛をするシーンを出すのではなく、もっと秀忠を取り巻く人物の思いを描いてほしかったと思います。

そんな中で、今回うまく描いていると感じたのは、京極高次と初の決心と秀忠の上田城から関ヶ原に向かうシーンでしょう。京極高次がどれほど苦しい選択を迫られていたのかは描かれているのですが、残念ながら周囲の状況は一切見えなかったため、どれほどの選択をしなければならないのか、ドラマ中で理解することが困難でした。それでも今まで江のもとにあり得ないほど通っていた頃の初とは違って、高次の妻としてすばらしい思いをもってともに戦う姿は、これまでで一番の素敵な姿でした。まんじゅうをほおばっている頃の初とは大違いです。
そしてもう一つが、秀忠のシーン。自分は大将に向いてないといいつつも、自分の号令一つで多くの命が失われてしまう現実を目の当たりにする姿はよく描かれていました。上田城攻めを進言した阿藤快が憎らしく思えたほどです。その後、関ヶ原に向かう様子もさすが大河ドラマといえるほどのセットでした。秀忠がふと後ろを振り向いたときに疲れ切った多くの兵の顔を見て、何とかしたいという思いが画面から伝わってきます。こういう行動で思いを伝えるシーンこそ大河ドラマの醍醐味なのではないでしょうか。

欲を言えば、秀忠が「幸村と話がしてみたい」といって上田城に向かったのですから、それを実行しようとしてほしかったです。幸村と戦うことがはじめは目的ではなかったのだとすれば、そこから秀忠の新しい人柄が見えてくるかなと思ったのですが、残念ながら次の場面は戦闘シーンでした。

やはり、江側から見たドラマなので、淀側である三成の思いや行動は一切描かれずに関ヶ原を迎えてしまいました。確かにお市のナレーションのみで済ませるような荒技はなかったのですが、視聴者への状況を把握してもらうという観点が欠落しているようで、悲しい限りです。幻の関ヶ原という題名はいったい何を指し示していたのでしょうか。最後まで見ても謎は解けませんでした。次回にその答えがあるかもしれないので、楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
滋賀県大津市
 - 大津港
 - 大津城跡
 - 三井寺
 - 観音堂

江 -姫たちの戦国- 第34回「姫の十字架」

2011年9月 04日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

今回ははじめから細川ガラシャフラグが立ちまくっていて、結果的にキリシタンの教え通りに自害をせずに散っていく姿を中心に物語が構成されています。その中に江が政治のことを気にしたり、秀忠の思いの部分だったりするところがちりばめられているのですが、ここでなぜ多くの時間をガラシャに費やしたのかいまいち謎なところです。

主人公の江についてでいえば、秀忠が改めて江への思いを告白し、信長が好きだったこと、そしてその親族である江へは特別な思いを持っていたことを話している場面をもっと膨らませた方が、見る側に新しい発見を与えることができたのではないかと思えるのですが、残念ながら重要な場面もその他のシーンの一つとして薄く広くが貫かれてしまっています。

秀忠との絡みはそれだけでなく、上杉攻めの総大将に家康から命じられた際に自分ではつとまらないと落ち込むシーンでも江は登場しています。主人公たちに変装させるのが好きなのかわかりませんが、前回千利休の屋敷に炭売りの格好で忍び込んだのに引き続き、百姓としてのイメージシーン。このカットっているんでしょうか。本編の雰囲気を完全に壊しているような気がしてならないのですが、素直に二人の描写に専念していた方が良かったのではないでしょうか。

そういった心情の変化を映し出す重要な場面と同じくらいのさっくりとした展開で、三成が反旗を翻す場面もあったのですが、この歴史描写ゾーンはことごとくあっさりしすぎていて、数秒で終わるナレーションでは時代背景をとらえることなどできないでしょう。毛利輝元もセリフなしで数秒移っただけですし、家康が上杉攻めを秀頼に進言するのも唐突感が否めません。このまま関ヶ原もナレーションで終わるのではないかとおっしゃっているブロガーもいらっしゃるくらいで、戦闘シーンなどは今回の登場人物が戦っていないので、昨年までの大河ドラマで使ったやつを再利用しているのではないかと思ってしまいます。

そんな描くべき部分が多いにも関わらずガラシャについてタイトルにまでして中心に描くのは、やはりわかりません。ガラシャと忠興の告白シーンも、江という主人公にはあまり絡まず、物語全体としてこれまで力を入れて描いてきたかと言えばそうでもない、NHKのWebページを見ていてもその答えは見つからず。もやもや感だけが残る内容となりました。

そして当の江は、相変わらず秀忠や家康が政治について話をしている席に同席しているし、意見を申し上げるといって駆けつけようとするし、同じ行動が延々と繰り返されるようです。

ポイントは、江と初と淀という三姉妹が敵味方になってしまうという悲劇のはず、次回がそのシーンだとすれば伏線をもっと強く強く数回にわたって引いてあげるべきではないでしょうか。他をナレーションにしてまで重点的に描くくらいでないと、もはや伝えたいことは伝わらないような気がします。残りの回数も非常に少なくなってきているので、視聴者に感じてほしいことを絞って細かく描くような展開に期待したいと思います。

◆江紀行◆
大阪府大阪市
 - 越中井(細川屋敷跡)
 - 聖マリア大聖堂
 - 細川ガラシャ像
 - 崇禅寺