江 -姫たちの戦国- 第36回「男の覚悟」
前回と今回の間で、いつの間にか終わってしまった関ヶ原の戦い。ナレーションなどでも天下分け目の大戦であることをいたるところで強調していたにも関わらず、実際の戦のシーンは10分程度で終わってしまった感じがします。最も印象深く描いていたのは秀忠が関ヶ原に間に合わなかったという事実でした。
今回、最後まで見てきてなぜ作者が秀忠の失態ばかりに目を向けていたのかようやくわかったような気がします。それは、秀忠が関ヶ原の戦いによってつらい思いをして、多くの兵を犠牲にしてしまったことを通して人間的に成長した様子を描きたかったのです。本多正信があからさまにそのことを話をしていますが、精神的に大人になった秀忠は、江戸に戻ってきて女中・なつが秀忠の子を産んだ事実にショックを受けている江に優しく接することができる男に変わっていました。
逆に江の観点から見ると、より魅力的な旦那様になって幸せを感じているのだということを作者は伝えたかったのでしょう。そう考えると、関ヶ原の戦いも江の精神的な安定を強調する一つの出来事のように思えてきますその大きな流れの中で、石田三成の死はあまりにも小さい出来事のように思えます。無念さや悲壮感も感じられず、扱いもかなり小さかったのではないでしょうか。
しかし、今回の物語の中心が江である以上、このような書き方になってしまうのは仕方ない面もあります。その脚本を受け入れるのかどうかは、かなり個人差が出てくるのではないかと思いますが、少なくとも今までのの小穴大河ドラマファン層にとっては、歴史の大きな場面をことごとく軽く扱う今回の作品に不満もあるのではないでしょうか。
なので、もう少し考え方を変えて、歴史ドラマとしてとらえるのではなく、一人の女性の物語なのだと考えてみるといいと思います。江にとって大きな出来事は、自分の周りにいる人々の感情であったり、親族であったり、そういった思いがどのように紡がれていくのかなのです。今回は、女中によって離縁まで思い詰めてしまう江が、関ヶ原で大きくなって帰ってきた秀忠に救われ、さらなる幸せを感じることが大きい内容なのです。
次回は、千姫として芦田愛菜さんが再度登場します。周りの子役以上に多くのセリフがあって少し浮き気味だった茶々の子供時代の演技が再来する可能性が大で少し不安ではありますが、江がどのような感情の変化を起こすのかに観点を絞って見ていきたいと思います。
個人的には、家康が大津城で秀忠になかなか面会しなかった理由を語ったシーンが印象深いものとなりました。上に立つものとして、筋を通さなければならないという理由であることが述べられており、決して怒っていたからではないという解釈でした。諸説がある部分なので、新鮮な思いで見ることができたのではないでしょうか。
◆江紀行◆
岐阜県関ヶ原町
- 関ヶ原古戦場 決戦地
- 徳川家康最初陣地(桃配山)
- 笹尾山
- 石田三成陣地
- 東首塚
- 西首塚
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