あしたまにあーな

毎日の生活に ほんのちょっとのうるおいが 届きますように


あしたまにあーな > ブックレビュー


福澤諭吉に学ぶ独立自尊の考え方

2010年5月 08日 By: rainbow Category: ブックレビュー No Comments →

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」

このフレーズは、誰もがどこかで一度は聞いたことがあると思います。一万円札の肖像で有名な福澤諭吉による「学問のすすめ」のなかの冒頭部分がこれにあたります。

以前御記事でも紹介致しましたが、この言葉を聞く限り人は誰でも平等だということを言っているように聞こえますが、実はそうではありません。その後には、平等な社会のはずなのに、現実社会の中では貧富の差があったり、賢い人とそうでない人がいるのはなぜだろうと社会に疑問を呈している内容なのです。

その差はどこから出てくるかというと学問を学んでいるかどうかに掛かってくると説いています。愚かな人は誰かに任せてしまっていて自分は何も学ぼうとしない。だから任された人がどのようなことをしているのか分からず、結果として自分の不利益なことになってしまっても仕方がないのです。

他人に頼ることなく自分が学んで、物事の善し悪しを理解することができれば、富を築くこともでき、賢い人になれます。それが独立自尊の考え方だったのです。

今、自分は明治時代に書かれた福澤諭吉の言葉が時代を超えて、平成の世の中にも当てはまるのではないかと考え、改めて読み返しています。自分が学んで賢くならなければ、誰かの行いの善し悪しは分からないのです。今の政治や経済について、学んだものの上に立つ自分なりの考えをもって見ることができれば、違った角度から本質が見えてくるような気がしています。

政治や経済が混迷を極める今、自分たち一人一人が正しい見識を持つことを福澤諭吉は訴えているのだと思います。

この他、この「学問のすすめ」には様々な人が進むべき道が示されていて内容の濃い一冊であり、自分のなかで重要な一冊となっています。

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書) 学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)
(2009/02/09)
福澤 諭吉

商品詳細を見る

こころを動かすマーケティング

2009年8月 15日 By: rainbow Category: ブックレビュー No Comments →

あなたがいま一番飲みたい炭酸飲料はなんでしょうか?
あなたがいま一番飲みたい缶コーヒーはなんでしょうか?
あなたがいま一番飲みたいお茶はなんでしょうか?

これらの問いに対して、どれか一つはコカ・コーラ社の製品を挙げるのではないでしょうか。コカ・コーラを飲むのに理由などいりません。ただ飲みたいから飲む。そこにはコカ・コーラに対して自分たちがもつ確固たるブランドイメージがあったのです。

コカ・コーラは世界中に広がっていて、国連加盟国よりも多くの国で飲まれているそうです。そのコカ・コーラのブランド戦略を確立した魚谷雅彦さんという現在の日本コカ・コーラ会長がこれまで明かされることのなかったコカ・コーラのブランド戦略の考え方を示した本が「こころを動かすマーケティング」です。この本を読んでみると改めて気づかされる点が多いことに気がつくと思います。

魚谷さんは、もともとは歯磨き粉などで有名なライオンの社員でしたが、チーズのクラフト社を経てコカ・コーラ社にやってきます。会社は大きくなると余計なしがらみが多くなるものですが、魚谷さん自身の人柄もあり抜本的な改革を進めていきます。そこには自分の信念を曲げない強さを持つことが大切だと説いています。人の心を打つものは自分の強い信念と気持ちなんですよね。内容がいかに良くても気持ちが伝わらなければ意味がありません。本書で魚谷さんが言っていることとして、お客様の視点に立っているかどうかが自分の信念には必ず含まれているべきであるとあります。

それは、どの業界でも同じ統一的な考え方だと思います。お客様第一という言葉は使い古されている感じがしますが、営業部門だけでなく全社的に細部までこの考え方が徹底されているところはそんなに数多くありません。なので自分たちがそれを確実に意識することができれば大きな力となってブランド力は上がっていくのです。

本書ではその他、魚谷さんが成功させたプロモーションであるジョージアの飯島直子さんを起用したほっとするキャンペーンや、吉本芸人を起用した明日があるさキャンペーン、爽健美茶といった今では誰もが飲んでいるものの誕生秘話が紹介されていて、根底にあるお客様志向との関連性を見ることができます。また、コカ・コーラ社とその生産・販売を取り仕切るボトラー社との関係など中にいる人でないと分からない雰囲気を本書で感じることができます。

マーケティングの基本的な考え方を学ぶことができる上に、コカ・コーラという会社の一面を知ることができる読み物としても価値があるのではないでしょうか。これを読むとコカ・コーラの商品の裏に隠された想いを感じることができるので、余計ファンになってしまうかもしれません。

こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる
(2009/08/07)
魚谷 雅彦

商品詳細を見る

ビジネスマンのための「読書力」養成講座

2009年8月 04日 By: rainbow Category: ブックレビュー No Comments →

本を読むという動きは、はるか小学校に入る前からずっと行ってきている動作です。にも関わらず社会人になると改めて読書の方法というものに注目が浴びられ数多くの本が出ていることからも、いかに関心が高いものになっているかがわかります。その理由はいくつか考えられると思いますが、大きな理由の一つとして読書に求めるものが社会人になってから変わることが挙げられるのではないでしょうか。

学生の頃まで、読書は勉強のために必要に迫られて行う受動的なものだったのに対して、社会人為なったときの読書は自らのスキルを伸ばすための能動的なものに変わるのです。その中で、自由を与えられたビジネスマンはどのように読書をするのかを忘れてしまっています。そこでビジネスマンのための「読書力」養成講座のようなガイドブックが登場するのです。今回は小宮一慶さんの本書について紹介したいと思います。

本書では、読書は以下の5つから成り立つと説明しています。

1. 速読:求める情報を探すために要点を素早く把握するための読み方
全体を速く読むのが大切なのではなくいかに速く情報を入手するかが大切です。この読み方で頭は良くなりません。分野について把握をしている人が行うので、まずはこれ以降の読み方をしてその分野の内容を把握します。

2. 通読レベル1:最初から最後まで普通に読む読み方
読書を楽しむためのもので、全体をさくっと読んでいきます。これによって一定の理解を得ることができます。

3. 通読レベル2:最初から最後まで論点を整理し、考えながら読んでいく読み方
ここからが頭を良くする読み方になります。線を引いたりメモを書いたりしながら自分の考えを深めていきます。

4. 熟読:注や参考文献を参照しながらきっちり読んでいく読み方
通読レベル2に加えて、論理を追ってきちんと読んでいきます。必要な部分だけでもいいので、知りたいと思った部分は参考文献や注釈を含めてすべてを読み込みます。

5. 重読:何度も繰り返し読む読み方
人生の指南書など深く記憶にとどめておきたいものを何度も繰り返し読む方法です。

通読レベル1以降は、自分なりの仮説をもちながら読んでいくとより理解度は深まるといいます。さらにできるだけ読書レベル2のもので名書と呼ばれるものを増やすことによって、読書をする力も伸びるとのこと。

大切なのは、いきなり速読を行うのではなく通読をしっかりと繰り返しアウトプットをすることにあります。また、本の選択としては入門書であってもその分野の権威の方が書いたものを選ぶことによって、文章に説得力もあり行間に感じるものもあるということなので、本書に紹介されている本を全部読んでみることから始められるといいと考えています。

ビジネスマンのための「読書力」養成講座 (ディスカヴァー携書) ビジネスマンのための「読書力」養成講座 (ディスカヴァー携書)
(2008/09/15)
小宮 一慶

商品詳細を見る