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多摩川に鮎が戻ってきた理由

2010/09/08 Category: ニュース

多摩川に行ってみると、十分に川遊びをすることができるくらい川の水が綺麗なことが分かります。1960年代には川の表面に洗剤などの泡が浮いていて、付近に異臭を放っていた川も、近年下水道が普及し流域の下水道普及率が98%を越え、綺麗な川として蘇ったのです。

そんな多摩川に遡上する鮎の数が2007年以降減少傾向だったにも関わらず、2010年には2006年の観測史上最高となる約200万匹に及んだといいます。鮎といえば清流の女王ともいえる存在であり、川のきれいさを指し示すバロメーターともいえます。そういえば、多くのイベントで多摩川鮎の塩焼やつかみ取りを見かけます。

では、なぜ2010年は今までにないほど遡上する数が増えたのでしょうか。多摩川の鮎を調査している専門家によると、2009年秋に雨が多かったせいで水中の小石の汚れが洗い落とされ、鮎の産卵場所が増えたからではないかとしています。

直接的な要因はそうだとしても、過去から積み上げてきた様々な取り組みが多摩川にはあります。例えば、鮎などが遡上しやすいように堰の端っこにはなだらかな魚道ができていて、そこを通ることによって魚の生息域は上流まで広がるようになりました。また、流域の人々が定期的に多摩川の清掃活動を行ない川を綺麗にしようという意識が高いレベルにあることも結果的に魚たちにとって住みやすい環境となっていることは間違いありません。

ただし、来年も同じように鮎たちが多摩川に戻ってきてくれる確証はどこにもありません。多摩川には鮎だけでなく、他に様々な生物が共存しています。下流に生息する貝やハゼは水中を移動する際に石についた泥を落とすので、結果的に鮎が卵を産む漬けやすい環境を提供する、というように相互に依存しながら生活をしています。一方にとってよかれと思ってやったことが他方には害でしかないということもありえるのです。

すべての生物にとって暮らしやすい川を作ることは、言い換えれば汚れのない綺麗な川と、なるべく自然のままで居続けることだと思います。そのためにできることは個人レベルでもあるはずなのです。小さなことから川に親しみ、遊ぶことによって愛着がわき、綺麗にしようと思う、そんな好循環を生んでいくことが大切なのではないでしょうか。その結果おいしい鮎が食べられたら最高ですよね。

【参考】読売新聞 2010/09/07

いのちの川―魚が消えた「多摩川」の復活に賭けた男 いのちの川―魚が消えた「多摩川」の復活に賭けた男
(2010/06)
山崎 充哲

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