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値上げや有料にしても満足させる方法

2010/06/20 Category: ビジネス

今、牛丼屋や居酒屋など飲食店を中心に値下げ合戦が続き、企業間の消耗戦が繰り広げられています。利用者としては値段が下がってくれるのはすごく嬉しいのですが、値段の安さというものはその競合他社が追従することによって、その魅力は一気に半減してしまう結果をもたらします。

そんな中、無料で提供していたサービスを有料化しても好評を得ている企業があります。それがANAの機内サービスです。2010年4月から国内線エコノミー席での飲み物の無料サービスが終了しました。それまで当たり前のように出てきていたジュースやオニオンスープなどはもう無料では出てこなくなってしまったのです。

これによって、ジュースくらいは無料で飲みたいとか、あのスープがもう無料で飲めなくなってしまうのかといった声も上がったのですが、それ以上に好評を得ているそうでジュースとスープは共に1日700?1000個を販売する人気商品にまでなったそうです。

その裏に隠されたANAの戦略に無料や値下げを脱するためのヒントがあったのです。そこで今回は企業を消耗戦から脱するためにお客様と企業が共にいい方向に行くと考えられる方法について考えてみたいと思います。

まず、ANAが有料化する際に定量的に顧客ニーズを調査したところ、「お金を払ってでも自分好みのサービスを選びたい人が6割から7割いた」ことがわかったそうです。ここで見ることができるのは飛行機に乗るシチュエーションによって、どのようなサービスを欲しているかということです。

話をわかりやすくするために飛行機を、新幹線や登給電車に例えてみましょう。毎日のように飛行機に乗っているビジネスマンにとって、飛行機の中は通勤電車のようなもの。通勤電車になっている新幹線や特急電車の中で、駅弁を食べながら通勤する人は少ないでしょう。逆に同じ新幹線や特急電車にレジャーで乗った際には、飲み物を購入し、お弁当も購入して車内で食べるでしょう。

つまり、日常的に利用している人とそうでない人とでは、同じ無料サービスを提供しても受け取り方が違うのです。そこに着目して、毎日のように利用する人には、無理をしてサービスを提供しない、たまに利用する人にはその高揚した雰囲気を盛り上げてあげるような高級で非日常的なサービスを有料で提供できる環境を整えることによって、双方にメリットがうまれることになります。

ANAの場合、有料化したのと時を同じくしてサービスを拡充したといいます。取り扱う商品はスターバックスのコーヒー、千疋屋のみかんジュース、自社開発のオニオングラタンスープなど20品目にまで拡充し、いつもなら飲まないものを飛行機の上という場所で提供することによって、非日常空間を演出したのです。その結果として多くの人の支持を受けるまでになりました。

ここから分かるのは、企業はお客様にその場に来てもらっているという状況をうまく活用し、値下げだけでなく居心地の良さ、感動を提供することによってその対価を十分に得ることができるということなのです。利用者はそのサービスにかちがあると思えば、必ずお金を払ってでも利用します。それが単なる自動販売機や日常の中で得ることができるサービスと同じであれば、お客様は二度と利用しないでしょう。非日常を演出し、お客様を感動させることができるサービス、簡単に言うといい意味での期待の裏切りをさせることが大切なのです。思っていた以上のサービスを提供することができたとき、真のリピーターを増やすことができるのです。

【参考】GLOBIS.JP
http://www.globis.jp/1322

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