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天地人 第32回「世継ぎの運命(さだめ)」

2009/08/09 Category: 2009年_天地人

今回は様々な家族の人間模様を見ることができました。その中には幸せな家族もあればそうではなく悲しい選択を迫られた家族もあります。秀吉の家族が今回のメインとなります。朝鮮出兵に出かけていた景勝や兼続たちでしたが、突然の帰還命令が下ります。朝鮮軍との戦いの模様は今回一切出てこなかったのが残念です。今回の秀吉の施策がいかに多くの人の気持ちの反対側にあったかを示すためには、苦戦の模様をうまく伝えてほしかったのですが、さくっと終了してしまいました。

帰還する理由となったのが、秀吉と淀の間に生まれた拾の存在でした。子供が生まれたからという理由だけではないと思いますが、これで朝鮮出兵は終了というのもなんだか無念な感じが残ります。この拾によって、これまで養子として迎えていた秀次や秀俊は徐々に自分の立場が悪くなっていくのでした。

この崩壊状況をみているのがなんだか苦しくなるほどです。秀俊は、養子として小早川家にいくことになり、後に小早川秀秋となって関ヶ原でキーパーソンとなっていくのですが、このときのことを考えると当たり前の動きだったのかもしれません。次回は秀次の身も危うくなっていくのですが、それはまだ先のこと。

拾のために建てたという伏見城は、秀吉のお得意の人と金をつぎ込んで建てた城であり、短期間で立派な建物になることができたのですが、代わりに三成は多くの大名に嫌みを言われることになってしまいます。兼続と三成が寝ころんで友情の会話をしているときに盗み聞きした徳川家康によって、後の時代に変わっていく伏見城ですが、この時点では溝が決定的になってしまった雰囲気があります。このあたりで、秀吉や家康が本性を現して以前よりも顔つきが変わってきていることが分かります。うまく今後の流れを表現しているのでしょうね。

こういった悲しい家族のなかで、今回ほっとしたのが兼続の一家でしょう。お船の
ひざ枕で始まったラブラブモードは、二人の子供を越後にいたお涼と関わらせて、勉強を見てもらうといういいお父さんぶりを発揮しています。お涼との描写はなかなか怪しい雰囲気で作られていましたが、兼続からしてみればなんでもない関係。何もなくてよかったですね。

次回からは、三成が段々恐ろしい感じになっていきます。それが政権保持のために必要なことであればいいのですが、個人的な理由でないことを祈るばかりです。

□■天地人紀行■□
京都府京都市伏見区
 伏見桃山陵
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