井上康生選手 お疲れさまでした
柔道の井上康生選手が、正式に引退を発表しました。会見の場での井上選手はすごく晴れ晴れとしていて、全てを出し切ったという達成感に包まれている表情でした。
井上選手の柔道人生は波乱に満ちていて、前にドキュメンタリー番組を見たのですが、母親と兄を亡くし父親と二人三脚で北京を目指してきました。兄はいつでも井上康生選手のよき理解者であり、温かく応援してくれる大切な存在、それを亡くしたのですから精神的なショックも大きかったと思います。
常に内またなど華麗な一本にこだわり、ポイントや判定に持ち込もうとしないその攻めの柔道は、日本だけでなく海外でも多くの人気を得ていたといいます。自分が勝ち進むことはすごく大切なことです。勝負である以上、勝たないと意味はありません。ただし、そこには見ている多くの人がいるという大切なこと、感動を与えるという大切なことを常に考えていた数少ない選手だったのではないでしょうか。
山下さんも言っていましたが、一つの時代の終わりが来たのかもしれません。ただ、柔道が日本の誇る競技である以上、後進の選手もただ強いだけでなく感動を与える井上選手のような柔道家になっていって欲しいと思います。
井上選手、これまで本当にお疲れさまでした。少し休んだ後、その手で自分のような素晴らしい選手を数多く育てていって、日本柔道を盛り上げていってください。弟子は無限大ですね。夢は広がるばかりです。
井上康生―初心でつかんだ金メダル (シリーズ・素顔の勇者たち) (2001/07) 瀬戸 環 |
◆関連する記事◆