配送におけるスピードという付加価値
モノを運ぶという作業に求められるのは、安心で確実であること。そして時間通りに相手に届けることが挙げられます。モノが動くことによって経済が動いている社会において、これらの基本サービスはなくてはならないものとなっていますが、人は次第になくてはならないものに対するありがたみは忘れていき、サービスを提供できない場合には不満となって現われるようになります。
時間通りに確実に相手の届けるのは、今のご時世当たり前となっているのです。そこで企業向けの物流や個人向けの配送を生業とする企業は、次の付加価値を提供し続けなくてはならないのです。その付加価値として現在提供されているものは以下のようなものが挙げられます。
・コストを安く抑える
・安心を提供する(相手に確実に届くという安心)
・時間をなるべく早くする(リアルタイムに近づける)
まず一つ目がコストの問題ですが、荷主さんに他の会社の荷物も載せることを同意してもらえれば安くするという施策が行われています。トラックなどは空の状態で走ることほど無駄なことはないので、同じ方向に向かうトラックで空きがあれば同乗させてもらうことによって、運送会社もお客も双方にとってメリットがあります。ちなみに余談ですがタクシーでも同じ方向に行く人を募るサイトも登場していて、できるだけ割り勘で安く目的地に向かうサービスが人気を呼んでいる現状もあります。
次に安心ですが、相手に確実に届けることを確認するためにWebやメールで配送結果を教えてもらうサービスが各社で提供されています。
最後に時間の問題ですが、注文主が自分であった場合にはなるべく早く届けて欲しいと思うでしょう。明日明後日に届くというのではなく、できるだけ早く使いたいと思うニーズに応えたのがクロネコヤマトです。通販の商品をこれまで最短8時間掛かっていたものを最短4時間でお客に届けるサービスを開始しました。予め通販業者から商品を預かっておき倉庫などに保管しておきます。そこから指示が出れば即座に配送を開始するのです。他にもamazonでは、最短で届けるように指定すると、割高になってしまいますが確実に届けられる仕組みになっています。
このように、配送業者もただモノを運ぶだけではなく、新たな付加価値を提供することによって収益の増加を見込んでいるのです。今後は同じ配送システムをもつ企業同士が連携することによって配送コストを削減する方向性も考えられるでしょう。例えば、1日数回の商品補充をするコンビニの配送車に他のモノを便乗するといった事もあるかもしれません。ユーザからみると欲しいものを早く安く届けてもらう、もしくは相手に届けることが一番であり、その観点でさらなる利便性向上が図れるといいと思います。
【参考】日本経済新聞 2009年8月2日
物流・配送のことがわかる本―宅配サービスから物流管理まで物を動かすしくみのすべて (1992/04) 中田 信哉 |
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