あしたまにあーな

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坂の上の雲 第10回「旅順総攻撃」

2011年12月 04日 By: rainbow Category: 坂の上の雲 No Comments →

とうとう最終部となる第3部が始まりました。始まりの時間が7時半からでもう少しで見逃すところでしたが、時間が長い分映画を観ているかのような感覚になりました。その一つ一つの出来はものすごく、これが1年間続いてくれれば史上最高の大河ドラマになったのではないかと思えるほど。久々にわくわくしながら最後まで見ることができました。

1ヶ月ほど前から復習するための番組が放送されていてしっかり復習をしたおかげか、タイムラグをあまり感じることなく今回の旅順攻撃の場面に入っていくことができました。前回まででロシアと侵攻のある広瀬が亡くなり、さらに正岡子規もなくなったことから、第3部は日露戦争を描くことがほとんどになるのだろうと思っていましたが、今回のバランスを考えてもその通りであることが分かります。

物語のはじめは日銀副総裁の高橋是清が日露戦争の戦費調達を行うためにイギリスに滞在することから。当たり前の話ですが戦争を進めるためにはお金が必要であり、自国のお金だけでまかなえるものではないので、他国から融資してもらわなければなりません。この当たり前のことを、しっかりと描いているドラマを見たのは自分の中でこれ以外にありません。

日露戦争で戦っている人々以外にも日本を勝利に導くために必死になって戦っている人がいるのです。ユダヤ人の金融家が日本に融資しますが、それはロシアのユダヤ人に対する仕打ちがあまりにもひどいことが起因していて、そういったことを高橋是清は「世界は複雑だ」と表現します。今の時代に高橋是清がいたら、彼はなんと嘆くのだろうとつい考えてしまいます。

そんなお金を工面してくれたにも関わらず、陸軍が旅順で戦っている間はつねにお金がなく、玉がないと嘆きます。限られた予算を陸軍のこの第三軍にうまく渡せなかったのかもしれません。柄本明さんが演じる乃木希典は何の情報もないのに上からは期日だけは迫られ、正面突破を人海戦術で攻めるしかありませんでした。このドラマに出てくる俳優や女優はみなさん、うまい人ばかりなのですが、中でも柄本明さんの迫真の戦いぶりは、観ているこっちも息をのむほどでした。戦闘シーンで、どうしてこんなにリアリティがあるのだろうと不思議に思っていたら、NHKのWebページにその答えがありました。

それは、歩兵一人一人の表情がしっかり見えるということ。ご飯を食べて一息ついている場面や、決死の戦いをしている最中の表情、そのすべてがつぶさに写っているのです。こういうシーンでは、指揮官ばかりが注目され、兵はひとかたまりで表現されるのですが、このドラマではそれをよしとしないところに、クオリティの高さを感じます。

その旅順から離れた遼陽の近くに好古はいました。真之が感情の起伏をあらわにし、上のものから諭されていたのに対して、好古はほぼ完璧な振る舞い。さすがです。敵情視察の兵士をねぎらい、その報告にそってロシア陸軍を横から攻めて撤退に至らせます。危なげなく任務に当たっている好古をみると、昔からこのひとは弱い部分がないなと感じ、常に比べられる弟の真之に同情してしまいます。いつか必ずある失敗が命に関わる問題でないことを祈ってしまいます。

さらにそこから遠く離れた船上には秋山真之が、連合艦隊の一員として旅順港を常に監視していましたが、今回は弱い部分を思い切り周囲にさらけ出してしまいました。これも昔からの彼のキャラクターではありますが、正しいことをきちっと述べるいい面と、頭に血が上ってしまった時の突発的な行動には激しい落差があります。今回すごく感じたのは戦場で、1つ誤った判断をしてしまうと多くの兵士を失い、命もなくなってしまうということ。真之の冷静さを失う行動の裏に、多くの命がなくなるリスクを考えると、参謀長の島村の背負い投げも当たり前のことのように思います。

しかし、真之には周囲にあまりのも大人ですばらしい判断ができる上司がたくさんいるということが、安心材料ではあります。先ほどの島村を始め、東郷平八郎といった石原軍団の重鎮がきっちりと抑えてくれているので、きっと大丈夫でしょう。どうしようもなく厳しい戦いはきっといい方向に向かってくれるのではないかと期待させられます。

次回は、二〇三高地攻めです。一つ一つの話が独立していて、それらの関連性は非常に薄いのですが、過去の絡みを脳裏に浮かべながら、すべての関係者が登場し続け、どのように生きていくのかをチェックしながら観ていくと面白いと思います。

坂の上の雲 第9回「広瀬、死す」

2010年12月 26日 By: rainbow Category: 坂の上の雲 No Comments →

帝国主義の思惑が錯綜する中、とうとう日露戦争が始まってしまいます。皇帝ニコライ二世が戦争を回避すべく日本に対して譲歩案を提示したのに対して、それを握りつぶして隠してしまった極東総督のアレクセーエフの行動が悲劇を生むきっかけとなってしまいます。毎回歴史にタラレバはないと戒めるのですが、ここで皇帝の指示がそのまま日本に伝わっていたのであれば、日露戦争は回避することができたのではないかと考えてしまいます。

日本の夜襲から始まった戦争は、ロシア側が丁度マリア祭の日であったことから意表をついた形となってしまいます。自分のために祝砲をあげてくれたと勘違いする婦人の痛い状況とは裏腹に、アレクセーエフはこれで叩きのめすことができると微笑む姿が恐ろしくもあり、ロシア海軍の強さを感じる一面でもありました。たしかにこの後、日本軍による夜襲の結果ロシア軍の軍艦数隻にダメージを与えたのみで、壊滅的な被害を与えることができなかったことからもわかります。

しかし、今回のメインである広瀬に対しては、確実に死亡フラグが立っていました。前回の予告および今回の題名からも広瀬が戦死することはわかっているのですが、それでもどこかで生きていて欲しいと願ってしまいます。それは広瀬という男がこれまで男気あふれる素晴らしい人間であるという描写をしてきているということから、自分は広瀬自身がそのような人物であると完全に思っていて、そのような人物を第二の故郷であるロシアと戦ってなくすのはあまりに惜しいと思ったからです。

作戦をたてた有馬良橘は旅順を閉塞してしまおうと考えそれが実現します。真之は以前この戦い方を見ていて犠牲者が多く出ることを知っていたので、反対するのですが最後は作戦の立案に協力することになります。昔の場面がこのようなときに役立つとはしっかりと後に使うことを考えていたのかもしれません。結果としてこの閉塞作戦は2回実施して両方とも失敗するばかりではなく、広瀬を亡くすことになってしまいます。

広瀬は仲間が見当たらないといってかなり探していたのですが、なかなか見つかりません。船内に浸水が進み、まるでタイタニックを見ているかのような錯覚までしてきます。緊急の船に乗って逃げ出したときには、もしかしてこれで逃げることができたのではと思ってしまいましたが、まず一人がやられたときに「あぁ、ダメだな」と感じてしまいました。その直後、アリアズナに語った朝日のことを思い出していた矢先に撃たれて亡くなります。この瞬間をみせなかったのはNHKのせめてもの敬意でしょう。

亡くなった広瀬をロシア軍は丁重に扱い、ロシア正教にならって葬儀を行ないます。このあたりは、広瀬や好古がいっていたように敵味方がなくなれば仲間だという気持ちが出ていて、せめてもの救いだったと思います。

このあたりの旅順付近の戦いの迫力は本当に凄かったです。メーキングによると、マルタ共和国に再現した福井丸の船体のセットを使って大爆発を起こしたそうです。CGだけでは伝わらない迫力も、これからどんどん増えていくのでしょう。日露戦争は秋山兄弟、そしてそれを支える女性たちの思いを飲み込みながら進んでいきます。この先はまた1年後。慣れたとはいえ、早くも次回が楽しみです。

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坂の上の雲 第8回「日露開戦」

2010年12月 19日 By: rainbow Category: 坂の上の雲 No Comments →

前回まででノボさんが亡くなってしまい、今回から一体どうなるのだろうと思っていたのですが、そんなことは考えなくてもいいくらいほとんど登場してこなかったです。律さんが真之の家にやってきて色々と面倒を見るときに話題になるくらいで、おそらく今後はどんどん登場シーンが少なくなってしまうような気がしてなりません。

前回も思ったのですが、坂の上の雲が数ある明治の世の中を描いた作品と違うのは、軍事的な側面だけでなく正岡子規のような文学や世相、文化という明治時代の息吹を感じることができる点が新鮮で面白いのだと思います。そういう意味で今回からどのようにその穴を埋めていくのか楽しみでもありました。

始まりは久しぶりに本格登場した好古は、騎兵第一旅団長となり千葉県で演習を行なっていました。このシーンだけでもかなり大規模で迫力があります。機関銃という文明の利器と古からの騎馬隊が併存するのは明治という時代だからこそでしょう。おおらかな演技は阿部寛さんにすごくあっていて、この後ロシアでの騎馬隊との飲み会でもそれは十分に発揮されることになります。

いざ戦となったら正々堂々と戦おうと握手を交わすその気持ちよさは、見ていて複雑になります。仲間意識と裏腹に彼らは戦わなくてはならないという相反した行動を取らなければならないのです。このような形ではなく違う形で彼らが交わっていたら真の友情を得ることができ、違う世界ができていたのではないかと考えてしまいます。歴史にタラレバは禁物なんですけど。

一方、真之は華族女学校に通っていた稲生季子といい関係になり、結婚することになります。この時代にとっては当たり前なのかもしれませんが、あまりデートしている感じでもなく、自転車レースで負けてしまった季子を真之が慰めつつ、その後に分かりづらいプロポーズを行ないます。季子は全く理解できていないなかったのですが、何となくOK。とんとん拍子に進み、結婚式のシーンに。展開が早いなとは思いつつも、結婚式を心から喜ぶ母親と好古の姿を見ると、よかったねと自分も一因として思ってしまいます。

妻となった季子はやはりお嬢様なので、ドジョウを素手で裁くことができず訪れた律の手を借りて何とか対処します。良妻賢母を目指して一生懸命な姿を見ると、多少できないことがあってもまぁいいかと思ってしまいます。きっと、石原さとみさんがかわいいからという理由も大いにあるはずです。

時代は、ロシア皇帝ニコライ二世の全面譲歩という気持ちも届かず、日露開戦に向けて動き出します。その司令長官になったのが東郷平八郎でした。渡哲也は落ち着いていて貫禄がありますね。このあたりの演技は本当に見物です。これでもかという位の役者が大臣クラスにつぎ込まれています。極めつけは明治天皇を演じる尾上菊之助さんでしょう。市川亀治郎さんもそうでしたが、歌舞伎役者はやはり顔での表現がうまいですね。石坂浩二さんと中尾彬さんの司令長官を巡る思いの激突は見ているこちらも手に汗を握ってしまいました。

こうして名実共に日本海軍の頭脳となった真之。好古のちょっと恐ろしい言葉を胸に戦いの場へと足を入れていくことになります。これからは日露戦争の描写が多くなると思いますが、結果はともかく真之と好古の思いと戦い方、そしてノボさんの後を継ぎ明治の世の中の動きをしっかりと見ていきたいと思います。

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