あしたまにあーな

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江 -姫たちの戦国- 第45回「息子よ」

2011年11月 20日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

気がついたらあと2回を残すのみになってしまった江ですが、2回では大坂の陣の後の世界を十分に描くことはできないので、ネタを絞る必要があります。その一つが秀忠の後継者問題でした。前回の最後に竹千代の化粧問題を提起して、前振りはばっちり。今回のはじめもそのネタを十分に利用して追求していきます。

大方のブロガーの予想通り、これは竹千代が母を想う気持ちの裏返しになっていたことが判明し、このことにより今まで確執があった江と竹千代の間が急速に縮まり抱きしめ合う親子の構図になります。また、同時に秀忠との会話でも「自分に似ている」と言われ、母親のことを考えてこの先の世の中の平和を願っている様子が描かれます。

こうなってしまうと、いくら武道で優れて品行方正な国松といえども、かなうはずがありません。勝負はあったも同然でしょう。次回はきっと竹千代に軍配が上がる様子を描くはずです。これによって、思い切り喜ぶ乳母の福の様子も見ることができるはずなのですが、今のまま多少強引で同情を得にくいキャラクターだと損だと演出家の方は思ったのでしょう。今回、江と竹千代が抱きしめ合うシーンでは、部屋の外で静かに涙を流し、いいキャラであることを演出するのでした。これによって「福って意外といい人なんだね、次回から応援しよう」と思う人がどのくらいいるのかは定かではありませんが。

この竹千代との和解が「息子よ、パート1」だとすると、パート2は秀忠と家康の関係でしょう。もうずっと前からこの二人を結びつけようとして、そのたびにけんか別れしてしまう結果となってしまっていたのですが、今回は家康の最期が近づいているということもあり、涙ながらにお互い父と子供を思う気持ちを包み隠さずに話し合います。次の日はうってかわって、二人で薬を調合するなど仲むつまじい親子に変わりまくります。この変わりようになかなか付いていくことができずに、妙な現実離れ感を抱いてしまいました。

さらに気になるのは、家康のいる駿府城に江自らがやってくること。懐かしいですね、この江の神出鬼没状態。炭売りの格好をして千利休の家を訪れたのが過去のことのように思い出されます。やっぱり最後も、このように「本当に行ったのか?」と謎が深まる訪問をする江。演出の人としては、もはやこれが江という人なんだと結論づけているようです。行き過ぎた演出は、見る側にリアリティーを削いでしまうということを次回もしも演出の仕事があるようなら、改善していることを願ってやみません。

いよいよ次回は最終回。物語の主人公は江なのですから、江という人物の総大成を次回見ることができることを期待しています。

◆江紀行◆
静岡県静岡市
 - 駿府城 巽櫓
 - 東御門
 - 徳川家康像
 - 久能山
 - 神廟(家康の墓)
 - 久能山東照宮

江 -姫たちの戦国- 第44回「江戸城騒乱」

2011年11月 13日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

物語最大とも言える大坂の陣が終わり、この残り数回をどのように演出していくのかが気になるところでした。その全貌が今回明らかになります。江が亡くなるまでのメインテーマは跡継ぎ問題であり、自分が寵愛する国松と福が推薦する竹千代の一騎打ち。

至る所で、国松が勝っていることを示していて、おどおどするばかりの竹千代。今回の最後に竹千代が紅を塗っている場面を江は発見してしまい、何かが終わった雰囲気。視聴者を完全に国松の方が次期将軍にふさわしいと思わせようとしていることが明白な感じがします。これで、秀忠がさくっと竹千代を選んだのであれば、視聴者はどうしようもないもやもやにさいなまれることになるでしょう。そうなってしまうのではないかと心配でなりません。

その跡継ぎに目を向けるよりも、やはり前回のこの作品のなかではかなり良かったと思える内容を引きずっている秀忠の思いに目を向けていた方が、楽しいと感じてしまう自分がいます。秀忠は、自分の命によって淀と秀頼を討つことになります。そうすることによって江や千からは非難されることが分かっていても、そのときは何かの思いを抱え、決断を下したのです。

家康からは、この決断ができる息子をみて、実権を譲っても問題ないと判断できたのでしょう。青竹踏みをしながら本当に隠居の世界に入っていきます。後に福が跡継ぎを竹千代にするよう進言してほしいと願っても、もはや表舞台に登場することはありません。このあたりの徹底ぶりはさすが家康でしょう。

秀忠は、戦乱の世の中を終わらせ、太平の世の中をもたらす、血を流すのは自分で最後にするのだという強い意志を思っていました。その太平の世の中を作るには、豊臣家の面々を生かしておくことなどできなかったのです。それに気づいたのは、実権が自分に移ってからのことでした。ちょっと前まで豊臣家と共に共存共栄の世の中を模索していた秀忠ですが、自分が天下の決断を迫られるとそれは確かに甘いと感じたのかもしれません。このあたりの秀忠の思いを明確に知ることができたのが、今回の作品を見続けていた成果の一つだったと思います。

再び主人公であることが巡ってきた江ですが、自分の思い込みを姉の常高院に指摘されては、行動を律せられる展開。感情のおもむくままに暴走してしまいそうな江を止められるのは、もはや常高院しかいません。このあたりの人間関係と、女装に走ってしまった竹千代がどのように次期将軍になっていくのか、まったりとみていきたいと思います。

◆江紀行◆
東京都千代田区
 - 皇居東御苑(江戸城跡)
 - 桜田門
 - 天守台
 - 本丸跡
 - 二の丸庭園

東京都渋谷区
 - 金王八幡宮

江 -姫たちの戦国- 第43回「淀、散る」

2011年11月 06日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

今回はかなり見応えのある内容となりました。これまでくすぶっていた徳川と豊臣の火種がとうとう爆発し、大坂夏の陣へと向かっていきます。そのきっかけは、豊臣方の浪人が大阪市中で放った火がもとになっていると「江を読む」の著者である小和田哲男さんは解説しています。(この小和田さんの解説は毎回とても面白く、ドラマの中では描かれることのない人間関係や背景に関する知識を深める上で非常に大きな手助けになっています。)

しかし、ドラマの中ではこのあたりの状況はあまり描かれておらず、自然に夏の陣へと向かっていきます。江から姉上を助けてほしいとお願いされる秀忠。この後常高院などにも同じようなことを言われますが、最後は自分の中で何らかの決断をしたのでしょう。

今まで、豊臣家との共存関係を示していた秀忠がこのような結論を出したその背景について、今回は語られることはありませんでしたが、その裏高台院の太平の世を築くために避けては通れない戦というものがあるという言葉が胸にあったのではないかと思われます。逆にこのような判断ができたからこそ、これから家康は安心して秀忠に実権を譲ったのではないでしょうか。次回以降このときの気持ちがわかる描写に期待したいと思います。

途中から写経シーンしか登場せず、ここ数回は完全に空気となっている主人公の江は、この後残り3回でどのように存在感を示していくのでしょうか。今回まで抜群の存在感を示していた淀殿が亡くなった今、その懸念だけが残ります。本来であれば、江が主人公なのですから大坂の陣が終わり、自分が亡くなるまでも含めてじっくりと描くべきところなのだと思いますが、あと3回しか残っていないのでどこまで描くのが疑問が残ります。物語の進行ペース配分を誤っているのではないかと今のところ思ってしまいますが、その答えは最終回をみて考えて見たいと思います。

今回は、戦闘シーンも比較的多く登場し、特に真田幸村の戦いぶりはさすがでした。事実がどうなっているのかはともかく、家康相手に壮絶な戦いぶりであったと感じさせます。最期は家康の本陣に行きながら家康を見つけることができず、その次のシーンで秀忠が到着する頃にはすでに息も絶え絶えになっている状況は、唐突過ぎるような気がします。どのようにやられたのか、もう少しだけ詳しく知りたかったのですが。

戦況も徳川側に傾いていき、とうとう豊臣の最後を迎えることになります。やはり最後まで浮いていたのは千姫を演じる忽那汐里さん。どう見ても戦国の世という顔ではないような気がします。現代ドラマに出ていればすごく自然で素敵な方なのですが、大河ドラマに登場する他の女性と比較しても完全に浮いています。それでも逃げることができ、次回からは自分の旦那様を追い詰めた父親を責め続ける展開になるのでしょう。心が重いです。
次回からは、秀忠vs豊臣家にゆかりの人々、そして江vs福の2本柱になっていくのでしょう。歴史的に大きな出来事が一段落した今、人間関係をどこまで描いていくのか楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
大阪府大阪市
 - 豊臣秀頼 淀ら自刃の地
 - 太融寺
 - 生国魂神社内 鴫野神社(淀姫神社)