あしたまにあーな

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坂の上の雲 第6回「日英同盟」

2010年12月 05日 By: rainbow Category: 坂の上の雲 No Comments →

約1年ぶりの再開となりました坂の上の雲で、時間が空いてしまったことのフォローとしてNHKもゴールデンタイムを使って昨年の再放送を繰り返していました。自分もすべてを見ることができませんでしたが。頭を龍馬伝から少しずつ変えることができ第2部の初回を迎えます。

第1部で秋山好古、真之、正岡子規の3人の松山からの生い立ちとそれぞれの進む道について語りましたが、第2部ではすでに3人の道は全然違ったものとなっているためお互いの絡みはほとんどありません。なので、第2部からの見方としては3人のつながりというよりも出身が同じ3人がそれぞれどのように近代日本を生きていったのかを純粋に楽しんだ方がいいのかもしれません。そんな気持ちで第2部から臨みたいと思います。

物語は真之と広瀬武夫の2人がイギリス・ポーツマス港でイギリスが建造し日本が購入した戦艦「朝日」の見学のシーンから始まります。日本が帝国主義になって軍拡するためには国民の必死の税金がなくてはどうしようもありません。そのことを強く思いイギリスの人々に断言した広瀬は、相当有能でありリーダーとしてふさわしい人であったのだと思います。

そんな広瀬はロシアでの駐留6年間の間で、ロシアの人々に心から尊敬され仲間として受け入れてもらっていました。日本の武士の精神をアリアズナに説く姿は彼の誠実さをうまく表現しているようです。もちろん実際の彼がどのような人物であったのか自分は知りませんが、義理と人情に厚い人柄であり愛されるべき人物だと感じた人は多いのではないでしょうか。

ロシアは、極東の奥深くまで迫っており危機感を感じた伊藤博文がロシアにやってきた際にも広瀬は勇気を持って伊藤に現実を伝えます。結果として信じてもらえませんでしたが、結果として真実を伊藤に伝えることができたのです。

そのロシアの様々な場面は実際に撮りに行ったと信じて疑わせないほどのクオリティの高い映像ばかりでした。とくにロシア正教会と宮殿の様子は1つの芸術作品を見ているかのような錯覚を覚えるほど。そんな映像の演出について見どころとしてNHKのWebページに書かれている内容がすごく面白いので、是非見てみるといいと思います。

その頃の好古は、中国・北京に出征しロシア軍が略奪を繰り返している姿を目の当たりにします。今回セリフは数える程度でしたが、ロシア軍が行なっている行為を目に焼き付け、今後の好古の行動に何らかの影響を与えたに違いありません。その結果がどうなるのか、それはあとの話に回しましょう。

真之と正岡子規は、久しぶりの再会でしたが、やっぱりこの二人が仲よさそうにしていると見ている方も嬉しくなります。香川さんの弥太郎像がまだ抜けずに、どこかで笑いがあるのではと思ってしまいますが、最後までそれはありませんでした。当たり前ですが。

時代は伊藤がロシアとの協力に失敗し、竹中直人演じる小村寿太郎が中心になって進めた日英同盟が実を結び、確実に戦争の道へと突き進んでいきます。世界の仲間が祖国のために戦わなければならないことにやむを得ないと諦め、争う心の葛藤に注目していかなければならないようです。

 

 

坂の上の雲 第5回「留学生」

2009年12月 27日 By: rainbow Category: 坂の上の雲 2 Comments →

今年最後の坂の上の雲となりました。次回は約1年も先になってしまうのでしっかりと覚えておこうとひとつひとつの場面を目に焼き付けるように見ることにします。日清戦争以降の明治、大正、昭和と続く近代史では、人によって様々な考え方があったり戦争の悲惨さがバックグラウンドにあることから、画面で見る時に背景やその後の歴史をどうしても考えてしまいがちになりますが、少なくともこの坂の上の雲を視聴する上では、そのようなことはなるべく考えずに物語に登場する秋山兄弟や正岡子規たちがどのようにこの時代を疾走していったのかを純粋に楽しみたいと思います。

今回は、秋山好古の登場場面は少なく餅食べ競争の場面と陸軍乗馬学校長として騎馬隊の育成に力を入れていた場面の大きく2つで登場するに留まりました。第2部では好古の活躍の場面がもう少し増えることを祈るばかりです。

真之は日清戦争で自分の部下が亡くなったことに対してずっと悩んでいましたが、周りの人々の言葉を胸に海軍に復帰します。復帰してまもなく親友で先輩である広瀬と共に海外へ留学生として旅立つのです。真之はアメリカへ、広瀬はロシアへと向かうのですが、今でも海外への留学といえば大変な思いをする必要があるのに、この時代の人々の留学はそれをこえる苦労があったのでしょう。しかし、それでもこなすことができるのは志を強くもって日本を支えることができるのは自分であると強く思っていたからでしょう。

キューバとの争いの中でロシアからの留学生よりも多くの戦術を学び取っていたことを強く印象づける演出となったのは、本当にそうだったのかそれとも後の日露戦争の結果を意識してのことだったのかはわかりませんが、この場面で真之が作った資料が後世まで重要なものとなったというのですから、なんだかリアルタイムに見ていた自分まで嬉しくなるような気分です。その他、高橋是清先生からは原住民の扱われ方などから将来の日本の姿を重ねたアドバイスをもらい、人間的に大きく成長することができたアメリカ留学になりましたね。

広瀬もロシアで片岡鶴太郎が演じる八代六郎と出会い、ロシア軍の状況を把握し活躍していきます。舞踏会では難しい場面でしたが紳士的な態度も好感を得る結果となります。この舞踏会の場面も気合いが入っててリアルに描かれていますね。お金かけているなと世俗的なことを思ってしまいます。

こうして世界を駆け回る真之がいつも気にしていたのが正岡子規でした。子規の状況は益々悪くなっていってしまうのですが、それでも精神的には本当に充実していて、台詞ひとつひとつに本当に重みがあります。歴史にタラレバは禁物ですが子規がもっと長生きすることが出来ていたのであれば、日本文学においてもっと貢献することができたのかもしれません。根岸の小さな借家から世界中に思いを巡らせていた子規の思いの強さと、自分が成し遂げたことを無駄にするようなことはしないでくれと真之に頼む姿に思わず涙してしまいました。この先が長くないからこそ、自分が出来ることを冷静に考えて、一生懸命全力疾走していたのです。

それぞれ3人が自分の進むべき道を見極め走り抜けてきたことによって、ひとつの生きてきた証をそれぞれが記すことが第1部で出来たような気がします。きっと第2部ではこれを礎にしてもっと高みを目指していくのでしょう。子規の病気、真之の海軍での活躍、好古の騎馬隊の育成と成果など第2部に向けて見どころは盛りだくさんです。そこまできちんと覚えていられるように、次までに原作を読んで勉強をしておきたいと思います。


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坂の上の雲 第4回「日清開戦」

2009年12月 20日 By: rainbow Category: 坂の上の雲 2 Comments →

考えてみると、大河ドラマの中で明治維新後を描いたものというのは極端に少ないと感じます。少なくとも自分が関心をもって見るようになってからはないような気がします。今回の「坂の上の雲」は大河ドラマではありませんが、この時間に放送する長期的なドラマとしてほぼ同じ位置づけになるものから、事実上大河ドラマといえるでしょう。前からこの時代の生き様を見てみたいと思っていたので、毎回新しい発見をすることができます。

特にこの明治から昭和初期の時代については、その後の太平洋戦争の影響からか人物像を深く描いた作品は少ないように感じます。渡哲也が演じる東郷は冷静沈着な指揮官として写り、時代劇には向かないけどこのような近代ドラマには渡さんはすごく似合っていると感じます。秋山に多くの水兵が慕ってついてきたように、真之もまた東郷へついていきたくなる要素を多く兼ね備えているといえるでしょう。

今回は全般的に日清戦争についての描写になっています。好古も騎兵第一大隊長として旅順に向かって進軍していますが、生と死はほんの紙一重だということを改めて思い知らされる場面でした。とにかく戦闘シーンにおける兵士の数がすごく多く、清側は軽く数千人はいたのではないでしょうか。その先頭にたって陣頭指揮をとる好古の付近では多くの日本人兵士が命を失っていきます。よく爆弾が爆発する原野を一台の車が疾走し、その左右で爆発するシーンをよく見ますが、まさに今回の好古も同じような感じです。ここで命を失っていてもおかしくなく、歴史上の人物として語られることもなかったでしょう。好古も真之も立場は違うけど、それぞれがリーダーとして活躍している様子は、薄氷の上を歩んでいるかのようにも見えます。

一方、子規は俳句への道を突き進んでいて、情景がみえるような作品を数多く世に送り出していましたが、心のどこかで真之や好古の姿に影響を受けていたのです。自分の病状が良くないにも関わらず、従軍し日清戦争の真の姿を見つめようとします。清では、日本人が来るとただ静かに黙ってにらみつけます。この感情は逆の立場であれば当然の行為だと思うのですが、このいたたまれない状況に対して正しいことを写実的に記事にするようにアドバイスするのが後の森鴎外である森林太郎でした。

戦争という状況の中で、とかく戦争自体が語られそのときに過ごした人々がどのように考えてきたのかが伝わりにくいのがこの時代なのですが、今回この物語を通じて戦争の正否という大きな考え方ではなく、時代を必死に生きた人の気持ちをうまく表現していて全く新しい楽しみ方ができています。次回は戦争からは少し離れて、人間性がどのように高まっていくのか、子規の病状など見たい内容盛りだくさんで、来週を待ちたいと思います。


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※一部、読者の方からのコメントを元に修正させていただきました。ご指摘ありがとうございます。