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CO2を再利用するという温暖化対策

2010年3月 05日 By: rainbow Category: 環境問題 1 Comment →

これまで議論されてきた温暖化対策では、主に二酸化炭素を出さないようにするための施策があります。例えばバイオ燃料に代表される二酸化炭素を出さない燃料の開発などが挙げられます。そういった取り組みはこれからも様々な産業で活性化していくと思いますが、今回取り上げるのは排出されるCO2自体を再利用して化学製品の材料にしてしまおうという「CO2固定」という考え方です。

今、三井化学ではCO2と水素からメタノールを作り出す実証実験を行なっています。メタノールはアルコールランプの原料など広く燃料として利用されています。その他様々な樹脂製品の原料としても利用されている工業的には一般的な製品です。試験レベルでは、140トンのCO2から100トンのメタノールを精製することができるそうで、そのうち30トンは生産に必要なエネルギーなので、実質70トン分の二酸化炭素をメタノール化することができます。一般的にメタノールは天然ガスを一酸化炭素と水素に分解して作り出すのですが、上記のようにCO2を利用し精製することによって原料となる天然ガスの消費を抑えることが出来るようになります。

このCO2によって作られたメタノールを燃やしても自然界から天然ガスを取り出すよりは二酸化炭素の消費を抑えることはできますが、単に燃やしてしまっては、再び大気中に二酸化炭素を放出してしまうことになります。そこでこのメタノールを使って燃やすことが少ないような樹脂製品を作り出し、長く世の中に定着させることが求められると思います。「CO2固定」という考え方は、排出されたCO2自体を海底深くに埋めてしまうという考え方もあるのですが、これでは根本的な解決にはなりません。

日常的に必要な樹脂製品をこのCO2から作られたメタノールを使ってつくりだし、長く利用し、寿命が来たら再度それを燃やすことによって排出されるCO2を利用するという循環を作り出すことができれば、生産段階で必要なエネルギーを考慮しても十分二酸化炭素の放出量を削減することができるでしょう。政府が打ち出した「2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する」という目標を達成するために、こういった二酸化炭素の循環利用ができる仕組みを他にも模索する必要があるのではないかと考えさせられます。

【参考】日本経済新聞 2010/02/27

CO2固定化・隔離技術 (CMCテクニカルライブラリー) CO2固定化・隔離技術 (CMCテクニカルライブラリー)
(2006/08)
乾 智行

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公共自転車は都心に広がるか?

2009年8月 12日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

環境省は、2009年10月から12月の間で丸の内ビジネス街でいつでも誰でも利用することができる公共自転車の実験を開始すると発表しました。公共自転車は300メートル毎の5ヶ所に設置された50台の自転車を利用することができるサービスです。

初回の登録料1,000円を支払えば誰でも利用することができ、30分以内は無料、以降10分ごと、3時間以上は5分ごとに100円増えていく課金体系となっていて、盗難防止の観点から1日を超えると自転車相当額がカードから引き落とされる仕組みになっています。

これによって、将来的には温室効果ガスを削減することを目的としていると環境省は説明しています。同じようなサービスは海外でもすでに行われていて、フランス・パリでは1500ヶ所に約2万台配置されていて日常的にパリ市民の足として利用されているそうです。同じようなことを日本でも成功させたいという考えに基づいているのでしょう。

ここで考えなければならないのが、温室効果ガスをどこから削減するのかをしっかりと明文化しておく必要があります。考えられるのは、バス、タクシー、鉄道、自家用車といったものが考えられるのですが、都心に自家用車で通勤している人は決して多くありません。また、タクシーを普段利用している生活スタイルの人が自転車に乗り始めるというのも少し考えづらいものがあります。つまり自転車施策のターゲットは、普段鉄道やバスといった乗り物で移動している人ということになります。

そういった公共機関を利用している人のどのくらいの人数が自転車に乗ることによって温室効果ガスの削減につながるのか、そしてその量はどのくらいなのかを明確に予め試算しておく必要があります。そうでないとお金をかけるだけで逆効果につながりかねないものになってしまい、思いつきの施策になってしまいます。

海外と日本の違いも確認しておく必要があるでしょう。東京の都心部では、きめ細かく地下鉄や私鉄、JRが走っていてすぐに歩けば駅に着くことができます。おそらくこの利便性は他の国にはない特徴的なものではないでしょうか。その環境下においても効果があるのだということを示さないと「CO2を削減する」と環境省は言ってはいけないのです。

施策自体の有効性はきっとあるのだと思います。実施することによって人々の環境への意識も高まることから2次的な効果も期待することができるでしょう。その際に必要なのが効果の定量的な評価なのです。「きっと環境にいいと思うからやってみよう」という施策ではなく、しっかりとした根拠を分析した上で実施する必要があるのではないかと考えます。

【参考】
・YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20090802-OYT1T00064.htm
・環境省 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=11432


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50年後のCO2削減目標?

2008年5月 11日 By: rainbow Category: 環境問題 1 Comment →

長期的な計画をしっかり立てて、それによって行動するというのはすごくいいことだと思います。何も考えないで行き当たりばったりで実行していくというのはあまりにも不安定ですし。

ただ・・・・

50年後までの計画って果たして意味があるんでしょうか。事業計画や自分の人生計画においても50年後までの計画をしっかりと立てて行動するなんてことしないですよね。

それをやろうとしている人がいるんです。

日本の総理大臣の福田康夫さんです。

2050年までの日本独自の温室効果ガスの排出量削減目標を6月中旬までにまとめた地球温暖化対策に関する「福田ビジョン」(仮称)を作ったそうです。

しかも、これを6月末までに作って北海道・洞爺湖サミットに議題として提出するというのですから、驚きものです。

7月の北海道洞爺湖サミットを前に、具体的数値を明示することで議長国として主要テーマとなる温暖化対策の議論を主導するのが狙いということで、50年間にどのようにCO2を削減していくのか具体的な目標を立案していくそうです。

しかし、あまりにも急すぎだし現実的でないような気がします。50年後ということは、今その方針を考える人たちの大半はいなくなっているでしょうし、それを受け継いでいく後世の人たちに多くの負担を与えてしまうことにもなりかねません。

そういう長いスパンで考えるのではなく、今後5年といった短いスパンの中で具体的にどのような取り組みを行っていくのか、さらに国民に対して、全世界の人たちに対してどのようにCO2削減に向けて取り組んで欲しいのかを発信することの方がよっぽど大切なことだと思うのですが。

あまり長いスパンの目標って、世の中の動向も変わっていくし、科学技術力も変わっていくし、何より人間の考え方も変わっていくので、実現が非常に難しいと思います。

例えば、50年前の1958年。終戦を迎えこれからどんどん日本も成長していこうという時期だと思いますが、その頃に2008年までの目標が立てられたでしょうか。立てても、現実的なモノになっていたでしょうか。

サミットは、ただ権威を示すだけのものではなく、全世界の人たちがどう取り組んでいかなければならないかを実生活に基づいて考えていく場であって欲しいと思います。

【参考】時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2008051000304

ポスト京都時代のエネルギーシステム 分散型電源と再生可能エネルギー ポスト京都時代のエネルギーシステム 分散型電源と再生可能エネルギー
(2007/12/26)
井熊 均

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