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電力と温暖化ガスの天秤の行方

2011年9月 26日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

先の震災を契機に原発に依存しない電力の創出に向けて様々な取り組みが活発化しています。その中で東京都の副知事が発表したのが「東京都天然ガス発電所」という構想です。都内に発電施設をつくり、そこでコンバインドサイクルと呼ばれる発電方式を使って100万キロワットもの発電能力のある施設が作られるといいます。この量は、原発1基分に相当する量になります。

コンバインドサイクルとは、ガスタービン、蒸気タービンのふたつを組み合わせた発電方式で、まず天然ガスを高温で燃やしてガスタービンを回します。その際に出る排熱で水を蒸気に変え、今度は蒸気タービンを回し効率的に熱を利用します。このふたつを合わせた発電効率は約60%であり、原発の約30%、蒸気タービンだけを利用する通常の火力発電の42%を大きく上回る、非常に効率に優れた発電方式だと期待されています。

この発電施設の原料となるものは天然ガスなのですが、ここにも大きなメリットがあるといいます。石油資源の枯渇が世界的に叫ばれている中で、天然ガスの埋蔵資源量は数百年分もあるといわれており、燃料不足を心配する必要は皆無です。さらに、天然ガスは東京湾や房総半島の地下など、南関東一帯に大量に眠っているとのことで、自活することができる夢のような循環が実現することになります。

ジャーナリスト・有賀訓さんによると、東京、千葉、茨城、埼玉、神奈川にまたがる120キロメートル四方のエリアに、南関東ガス田と呼ばれるメタンガスが大量に蓄積されていて、千葉県茂原市九十九里地域などは、天然メタンガスを含む地層が地表近くにまでせり出しているため、自宅敷地内にガス井戸を掘り、そこから取り出したガスで風呂たきや煮炊きをしている民家もあるほどだといいます。

さらに、天然ガス発電所の建設コストは原発の4分の1程度で、広い敷地を必要としません。また、たった1時間で最大出力にあげることができるので、貯めるコストのかかる電気を時々刻々と変わる需要に合わせてリアルタイムに作り出していくことができるのです。

まだ計画段階ではありますが、ここまで魅力の高い発電施設なので、今後計画自体が進展していくことは間違いないでしょう。

しかし、一つの疑問が残ります。それは、震災前まで多くの著名人が懸命に取り組んできた温暖化ガス削減への取り組みが、この議論の中に存在しないこと。メタンは強力な温室効果ガスでもあり、同じ量の二酸化炭素の21倍から72倍の温室効果をもたらすとされています。それを一気に活用しようというのですから、温暖化ガスの排出量はうなぎ登りに上昇していくことでしょう。

その問題をどのように解決していくのか、新たな資源エネルギーの活用は常にその検討が必須なのだと思います。そして、それを伝える側としても厳しくチェックする目をもっていかなくてはならないのではないでしょうか。その結果、新たな問題を発生させることなく、気持ちよく利用できる電気になってくれれば、そんな嬉しい世界はないでしょう。

【参考】週プレNEWS http://wpb.shueisha.co.jp/2011/09/26/7109/

大転換する日本のエネルギー源 脱原発。天然ガス発電へ (アスキー新書) 大転換する日本のエネルギー源 脱原発。天然ガス発電へ (アスキー新書)
(2011/08/10)
石井彰

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メタンハイドレートは絶滅への片道切符

2009年2月 19日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

メタンハイドレート

皆さんはメタンハイドレートという物質をご存じでしょうか。メタンハイドレートとは、メタンガスが高圧・低温の海底や凍土の下にシャーベット状に固まったもので、日本近海だけでも国内で年間に消費する天然ガスの90年分に相当する量が眠っていると言われているものです。

エネルギー資源が乏しい日本にとってこれほど嬉しいものはありません。わざわざ高い原油を海外から購入する必要がないですし、逆に海外に売ることで高い収益をあげることができます。国家プロジェクトとして2018年ごろの商業化を目指して研究開発を行っているのも頷けます。

しかし、ここで問題が生じます。現在地球上に排出されるメタンガスは、主に野牛や家畜の牛、羊などによる呼吸やゲップなどがありますが、これらの排出を厳しき取り締まっている国すらもある恐ろしい気体なのです。

それはメタンガスが温暖化ガスとして排出を制限されている二酸化炭素の実に21倍もの温室効果を持っているからです。現在大気中に存在するメタンガスは大気中の含有量がわずか0.00022%にしかないため、メタンが温暖化に影響を与えるような数値ではないことからあまり話題にならないのですが、これが大量に大気に放出されたらと考えると・・・

二酸化炭素と違ってメタンは空気中に放出されると12年程度で分解されるので問題ないという考え方をする学者などもいますが、徐々に開発が進み次々とメタンガスが空気中に放出され続けると、分解の量を放出の量が上回り20倍以上の威力を持って地球を包み込んでしまうことになるのです。

地熱発電や風力発電、太陽光発電と地球に優しい代替エネルギーが模索されているなか、この流れに完全に逆行する施策に対して日本が国家プロジェクトとして先導することに疑問を感じざるを得ません。環境問題や将来対策は、人間の欲望の前には無力なのかもしれません。

【参考】日本経済新聞 2月19日

地球の内部で何が起こっているのか? (光文社新書) 地球の内部で何が起こっているのか? (光文社新書)
(2005/07/15)
平 朝彦徐 垣

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