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後手に回るバイオエタノール政策

2009年9月 21日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

かつてサトウキビを使ったバイオエタノール事業にいち早く着手したブラジルが今、その政策を大きく方向転換しようとしています。ブラジル政府は2009年9月、国内の92.5%の面積を対象にサトウキビ栽培を禁止する法案を提出したのです。

サトウキビは石油に代わるエネルギーであるエタノールを生み出すことができることから世界中で爆発的に栽培されるようになり、需要の高まりと共に価格の急騰が発生しました。当然多くの人がサトウキビをもっと栽培するようになり、熱帯雨林を多くもつブラジルでは、森林を密かに伐採してまで栽培する人まで現われました。

このようにして広がる森林破壊に対して、世界中から批判が起こるようになります。その批判への対応する狙いで、今回ブラジルの法律制定があると考えられています。この内容を報じている日本経済新聞では次のように記事をしめています。

「ブラジルのサトウキビ栽培面積は780万ヘクタールで国土の約1%。熱帯雨林や湿原はもともとサトウキビ栽培に向かず、法律が制定されても生産拡大にはほとんど影響が無いとみられる。」

果たしてそう言い切れるのでしょうか。これまで、様々なメディアでアマゾンの熱帯雨林で森林伐採し、焼き畑農業を行っている様子が示されています。その中には当然サトウキビ畑も存在するでしょう。統計では示されない実態がそこにはあるような気がしてなりません。

人は生活のため、生きるためにお金を稼ぎ、食べ物を入手します。そういった毎日の生活が苦しい状況下では、地球環境のことは二の次になってしまうのは容易に想像できることでしょう。法律というムチを与え取り締まることは必要なことではありますが、それでは根本的な解決は何もできません。

元々、バイオエタノール事業はエネルギーを得るためどこかに必ずひずみを生じさせる課題を抱えています。栽培していなかったものを大量に栽培することによる土壌への影響、元々必要とされ流通していたものへの影響などを考慮すると、非常に難しい舵取りが必要であり、それらは予め分かっていたことなのです。

作物から取り出すエネルギーには限界があることを、このブラジルの例からも学ぶことができるでしょう。自分たちは、太陽光や太陽熱、地熱、風力、海水といった自然界から得ることができるものを使ったエネルギーなど、バイオエタノールに代わる次世代のエネルギー源を早急に立ち上げる必要があるのではないでしょうか。

【参考】日本経済新聞 2009年9月18日

バイオエタノールと世界の食料需給 バイオエタノールと世界の食料需給
(2007/10)
小泉 達治

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スイカ燃料で車を動かせ

2009年8月 31日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

スイカ

バイオ燃料は、これまでトウモロコシに始まりイネや麦など実に様々な種類の農作物を使って実用化、もしくは実用化に向けた取り組みが行われてきました。まだ実証実験段階であるものが多いのですが、日常的に存在する植物を手軽にバイオ燃料にすることができる世の中になれば、これほどすばらしいことはありません。そのためには季節ごとにバイオ燃料にすることができる農作物が供給され続けることが重要なポイントとなります。

その季節感たっぷりな作物としてスイカが挙げられます。スイカをバイオ燃料にしてしまおうと考えたのはアメリカ政府機関であり、その最新の研究結果によると出荷されずに捨てられるスイカの果汁が、バイオ燃料エタノールの原料となりうるというのです。スイカの皮であれば十分味わってからバイオ燃料へと返信させることもできるのですが、残念ながらおいしい部分もエタノールにする必要があります。

アメリカ農務省農業研究局に所属する化学者ウェイン・フィッシュさんによると、もともとの発想として毎年たくさんの規格外のスイカが捨てられている状況を見て、エタノールにできないかと考えたところから始まったそうで、150トンから250トンのスイカから215リットルのエタノールを作り出すことができるといいます。スイカ1個が約1キロだとするとそこから1ミリリットルすら摂ることができない計算になるので、一般の家庭で作り出そうというのは採算が合わないのでやめておいた方がいいかもしれません。

課題として「スイカは重い」ということが挙げられます。スイカを集めて処理施設まで運んでいたのではどう考えても採算が合いません。そこで移動式の醸造装置を開発し各地を回りながらエタノールを製造していく方法をフィッシュさんは考えているそうです。この移動コストがどの程度で済むのかによって実現性が大きく変わってきます。

さらに気になるのがこのエタノールの味でしょう。すごく甘くておいしい気がしますが、その辺もさすが化学者フィッシュさんです。きちんと実験していて、そのコメントとして「死ぬことはないが、とても飲めたものではなかったよ」という素敵な言葉を残しています。もともと飲むものではないので、味を追求してはいけません。まさに二兎を追う者は一兎をも得ずです。

このようにまだまだ実験段階ではありますが、様々な種類の作物などで同一の方法でエタノール燃料を作成することができるのであれば、これほど大きな成果はないのではないでしょうか。今はその試行錯誤のタイミングにあるのです。実験結果からすぐに一喜一憂するのではなく、時をかけじっくりと成功に導いて欲しいと思います。

【参考】NATIONAL GEOGRAPHIC
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=25611746


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バイオ燃料を使うときに注意すべきこと

2009年3月 25日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

環境対策に積極的な対策が採られつつある今、自分たちの身の回りでわかりやすい対策の一つが、トウモロコシやサトウキビなどから獲れるバイオ燃料の利用ではないでしょうか。日本でも徐々にではありますがバイオ燃料の利用が進みつつあります。

その流れに逆行するかのように、京都市交通局はこれまで行っていたバイオディーゼル燃料を100%使った市バスの実用化を断念することにしました。使用済みの天ぷら油から精製した100%バイオ燃料をごみ収集車に使い、市バスは軽油に5%混ぜて実験をしていたのですが、市バスではバイオ燃料がエンジンオイルなどに染み出す不具合が判明し、運行を続ければエンジンが故障する可能性が高いとして実験を取りやめたそうです。

同様な事象は、兵庫県姫路市の運送会社でも行っていて、集荷作業中にエンジンがかからなくなったそうです。バイオディーゼル燃料に含まれる不純物で燃料フィルターが詰まり、燃料が供給されなくなったのが原因だとされています。

このように使用済みの油から作ったバイオ燃料を使用することによって、燃料フィルター部分に不純物が溜まってしまうのであれば、使用済みなのが問題なのではという考え方もできます。

独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のレポートによると、バイオディーゼルには燃料に含まれるバイオディーゼルの量に応じた溶剤効果があるといいます。これにより燃料システムをきれいにし、過去のディーゼル使用により燃料タンクの壁やパイプに溜まった付着物を取り除くこともあるというのです。

始めに普通のディーゼル燃料を使っていた自動車が、ある日からバイオディーゼル燃料を使い出すことによって、これまでついていた付着物が剥がれていきます。その剥がれ落ちた付着物がフィルターに詰まってしまい、結果としてエンジン停止にまでなってしまうのです。なので、一度詰まった燃料フィルターを積極的にチェック、交換することで付着物をとれることから、それ以降は問題なく使えることになります。

始めから100%のバイオ燃料を使うことはないと思うので、定期的な燃料フィルターの点検が必要ですね。大事故につながる危険性をもった非常に大きな問題であることから、改めて安全で安いバイオ燃料の登場が求められます。

【参考】
・NEDO http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1026/1026-06.pdf
・Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090323-00000019-kyt-l26

図解入門 よくわかる最新バイオ燃料の基本と仕組み―次世代エネルギーの動向がわかる バイオマス燃料の現在・未来・課題 (How‐nual Visual Guide Book) 図解入門 よくわかる最新バイオ燃料の基本と仕組み―次世代エネルギーの動向がわかる バイオマス燃料の現在・未来・課題 (How‐nual Visual Guide Book)
(2008/05)
井熊 均バイオエネルギーチーム

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