江 -姫たちの戦国- 第27回「秀勝の遺言」
前回までで江の夫である秀勝が遠く朝鮮で病死してしまいました。最期は地元住民と戯れたり心のふれあいを得ることによって、自分たちが今行っていることがいかに無意味なものなのかを思い知らされたようです。しかし、前回の描写では秀勝が亡くなってしまう直接の原因は、部下によって斬られてしまったことなので、何とも無念なことでだったでしょう。
夫が亡くなってしまったという現実を受け止められない江に、様々な人が慰めの言葉をかけることになります。まずはじめが姉である初。彼女はことあるごとに自分が住む城からやってきては色々奔走しているのですが、本当にここまで足繁く通っていたのか謎なところです。今は夫も九州に行っているので問題ないのですが彼女が江や茶々の元に訪れていたのは前からのこと。子供を作るとおっしゃっていたような気がするのですが、きっと気のせいでしょう。
自分の子供である完(さだ)を抱くことができない江ですが、この完という子供が後に有名な「さだこ」になるといいます。恐ろしいイメージのさだこですが、どのように変遷していったのか興味深いところではあります。後に完は公家に嫁いでいくことになります。
初による江の慰め作戦は見事に失敗。背景には江の中にある「自分の気持ちは誰にもわからない」という思いがあるからなのでしょう。次に慰め作戦に参加したのは京極龍子でした。この人の場合には自分の経験を話し終わってもらちがあかないと見るや「いなかったと思えばいい」というおよそ慰めになっていない言葉を残して去っていきます。シリアスなシーンなのにどこかコミカルさを残したいと思う気持ちが作者の中にあったのでしょう。ガラシャの時には、江を慰めるというよりも自分の経験談の方がよっぽど重い内容でそっちの方が目立っていたほど。
九州から戻ってきた淀も「江が自分で乗り越えなければならない」と突き放します。呆然とする江を立ち直らせたのは他ならぬ秀勝でした。秀勝からの手紙によって自分らしく生きることを思い出したのです。ずいぶんさくっと立ち直ったという印象がありますが、その前からあまり深刻さを感じなかったのは自分だけでしょうか。いずれにせよ、これから今まで以上の江の強気モードが発揮されることになります。
その強気モードが発揮された場面が、秀吉に対してでした。淀が懐妊しやがて拾という子供を産みます。後の秀頼なのですが、溺愛する秀吉に恫喝する江。これで今までの人は命を奪うことになったこともあるというのに、自分は強気一辺倒です。
関白の座を奪われることに不安がっている秀次にも、絶対に関白をやめてはいけないと諭しますが、歴史は無情にも秀次を歴史の表舞台から引きずり下ろしていくことになります。この表舞台に堂々と江という存在がいるのがこのドラマの特徴ですが、重要な場面で登場するならまだしも、常に表舞台にいる江を見ていると現実的なドラマとしてではなく、架空のフィクションドラマを見ているような気がしてきます。次回は、秀次が悲しい状況になっていく様子を描くものと思われますが、江がどのように絡んでいくのか見ていきたいと思います。
最後に、ドラマでは秀忠のこともしっかりとフォローしていて深刻な話を家康としていたにも関わらず、江のことをわざわざ持ち出して、秀忠が江に気があるようなそぶりをみせます。ここまで露骨にフラグを立てなくてもいいと思うのですが、必要なシーンだったのでしょう。ある意味わかりやすすぎる展開といえます。
◆江紀行◆
滋賀県近江八幡市
- 八幡山城跡(八幡山ロープウェイ乗り場)
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- 豊臣秀次・水争い裁きの像
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