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薬もオーダーメイドの時代に

2010/02/02 Category: ヘルスケア

人間には数えきれないほど多くの遺伝子が存在し、それらが人間の性質を定めているといわれています。近年この人間の遺伝子を解読しようとするヒトゲノム計画が活発化し今ではそのほとんどが解読されている状態です。これまで人間の遺伝子を解読することによって自分たちの生活がどのくらい良くなっていくのかメディアではあまり語られることはありませんでした。クローンなどの実験に関して目にすることも多く、恐ろしい印象を持っていた人も多いのではないでしょうか。

そんな人の遺伝子を構成する化学物質である塩基の配列のわずかな違いのことをSNPといいます。この個人ごとに異なる部分であるSNPは人間には数百万個あるといわれていてこれが病気の掛かりやすさなど体質を決める要因になっているといいます。この遺伝子の違い毎に最適な薬を与えることによって、薬の効果を高めることができ、なおかつ副作用を最小限に抑えることができるのです。

以前、「爆笑問題のニッポンの教養」という番組の中で東京大学薬学部長である杉山雄一先生が話していたのですが、体内の細胞の表面には「薬の運び屋」となるたんぱく質が存在していて、これが薬の効き目や副作用を決定する要因であることを説明していました。それを数式を用いてそこに個人毎のパラメータを入力することによって自分にどのような薬が合うかをある程度近似することができるというのです。まさにこれは、オーダーメイド投薬の最先端であり夢のような話だと感じました。爆笑問題の二人は提示された数式に激しく拒否反応を示していましたが、視聴者の素朴な疑問をうまく代弁してくれていました。最後に杉山先生が語っていた、「薬はうまく付き合えば、人生をより豊かにしてくれる」という言葉が印象的でした。

今、個人毎に異なる遺伝子を用いた医療は始まったばかりで東京女子医科大学は抗ガン剤の投薬を、日本医科大学などは脳卒中の投薬を患者毎のSNPを調べて投薬する研究を始めています。薬の究極の目標である「ピンポイントで患部に効き、副作用が出ない薬」は自分たちの子供の時代には当たり前のように実現することでしょう。そのとき病気から解放された人間がいるのでしょうか。それとも耐性をつけた病気がより強く自分たちの前に立ちはだかっているのでしょうか。悩みは尽きることはなさそうです。

【参考】
・日本経済新聞 2010/02/01
・爆笑問題のニッポンの教養 http://www.nhk.or.jp/bakumon/previous/20100119.html

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