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「モンゴルの悩み」から何を学ぶか

2011年1月 25日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

2011年1月24日の日本経済新聞夕刊に掲載されている伊藤忠商事会長 小林栄三さんのコラムでは、モンゴルが今抱えている問題について触れています。

それは、モンゴルの大気汚染についてです。モンゴルの首都ウランバートルへの人口集中は東京の比ではなく、モンゴル全体の人口273万人に対してウランバートルの人口が111万人と約41%にも及びます。他の都市の人口が8万人以下であることからもいかに人口が首都に集中しているかが分かると思います。

そのモンゴルでは、遊牧生活をしてきた人がそのままウランバートルでもテント生活を送ることから、極寒の冬には燃やした大量の石炭などでむせてしまい気管支炎になる人も増加しているとのこと。日本はもっともっと協力の手をさしのべるべきだと小林会長は締めくくっています。

この記事から、自分たち日本人は何を学ぶことができるでしょうか。かつての日本では高度経済成長の時代、公害問題が各地で起こりました。同様に産業革命期のイギリスでも、近年の中国でも同様の問題が起こっています。国が冨を求め人々が生きていくために豊かさを貪欲に求める時、環境問題は二の次の問題となります。周囲がそれを非難したとしても、生きようとする欲求は術にも勝るのです。

この時、すでに豊かさを得ている国がこういった国に対して半ば強制的に抑えようとすれば、反発だけを与得てしまうことになるのです。

では、このモンゴルの問題から自分たちはどういったアプローチをすることができるのでしょうか。ひとつの考え方として、双方にメリットがあればいいというものがあります。大気汚染をするようなものを抑えることがビジネスになり、それは同時に途上国にとっても収入減や節約になるのだとしたら双方が目的に向かって努力するでしょう。

例えば、先進国が環境に配慮したものや技術を提供し、それを途上国が利用することによって、今までよりも電気代や燃料代を節約することができるということが考えられます。移住した人用の住居を作り、そこに住まわせることによって都市開発も進みますし、環境負荷を抑えることもできます。そういった環境ビジネスが途上国自身の雇用につながれば、まさに一石二鳥でしょう。

すぐにゴールに向かうことはできないかもしれませんが、一方に負担が及ぶような制度や考えは、いずれ破綻を来たし環境へのモチベーション低下にもつながります。今こそ世界的な規模で、win-winになれる技術の相互協力が求められるのではないかと思います。

【参考】日本経済新聞 2011/01/24

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COP10にみる生物多様性の思い

2010年12月 29日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

現在地球上には、科学的に明らかになっている生物が約175万種、未知のものを含めると約3000万種もの生物が存在するといわれています。それら多様な生物は、これまでの進化の過程で環境になじむために自らに「機能」を持たせてきました。

その機能は、生物が自らを守るために身につけたものなのですが、それを人間は薬という形で利用するようになります。始めは原住民から、そしてそれに目をつけた先進国の製薬会社へと利用者が広がっていきます。利用者が広がっていけば、その生物を多く捕っていかねばなりません。

機能を持った生物の多くは、発展途上国に存在しています。彼らは、生物にどのような機能があるのかということよりも、今その生物が高値で売れるという直近の暮らしを考え、より多く採取しようと考えるようになりました。その結果として、一部の生物は絶滅が危惧されるまでに激減してしまう結果をもたらします。

そういった多様な生物の生態系を守り、機能を自分たちが将来にわたって、みんなが納得する形で利用し続けるにはどうしたらいいのかを話し合う国際会議がCOP10であり、2010年に名古屋国際会議場で日本が議長国として行なわれました。

その場で主に議論となったのは、先進国が主に発展途上国から採取している生物資源の利益配分に関する国際的な枠組みを作ることにあります。この問題は国の利益に直結する問題なので利害が対立しやすくとりまとめることは困難であると言われてきて、実際にそうなりました。環境問題であることは認識しつつも、自分たちが損になるようなことはできるだけ避けたいという相反する思いを結びつける必要が議長国である日本にはあったのです。

議論するうちに、この生物を薬品に使う際の資源国と利用国の利益配分に関して、以下のように様々な課題があることが浮き彫りになります。

(課題1)主な原産国以外から発見した生物から薬品が作られた等の国境をまたぐ場合に、原産国と発見した国のどちらが資源国となるのか。

(課題2)生物から採取した物質を人間が化学合成した場合には、資源国にどう配分するのか。

(課題3)条約が締結される以前にさかのぼって資源国から採取された生物を利用国が利益配分するべきか

どれも非常に重い問題であり、実際アメリカなどはこれらに独自の考えを持っているため条約に批准はしていません。非常に判断が難しい枠組み作りであり先進国と発展途上国の間の議論は平行線のまま閉幕期限に近づいていってしまいます。

このままだと議長国としての威信に関わる日本は、ここから素晴らしい仕事をすることになります。関係国が示した譲歩案をとりまとめ、見事に議長案を採択することに成功します。

その内容は、資源国の間で基金を設立し利用国はそこに生物資源やその知識を利用して得た利益を配分します。それを資源国の間で分配するのです。またさかのぼって利益を配分するかの決定と化学合成物質への適用は今回見送りとなり今後の継続審議となりました。

今回の採択は、利益をきちんと配分し資源国がその資金を利用して生物保護に取り組み、そして利用国はルールに則って薬品を利用できるという枠組みを作れたことに大きな意義があります。利害が交錯する中、世界の人々が同じ問題意識をもち、それを解決しようと努力した結晶なのです。その中で日本が議長国として果たした役割は本当に大きく、日本人として誇りに思います。

こうしてできた名古屋議定書は、まだ始まりに過ぎないことは誰もが思っていること。まずはしっかりと批准した国々でルールを適用し生物資源が守られているという実績を作らないと、これから先につながってはいきません。そういう意味で資金を提供する利用国も、その資金を利用する資源国も成果が求められるのです。

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香坂 玲

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個人でもCO2排出権取引ができる時代に

2010年11月 25日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

日本は2009年の二酸化炭素排出量が前年比で11.8%削減することができました。景気が低迷したことも要因としてありますが、環境立国を世界に指し示す上で先進国の中でトップレベルの削減量を達成したのは非常に意義深いと思います。ちなみに他の国について見てみると、アメリカが6.9%減、ドイツが7.0%減となったのに対して中国が8.0%増、インドが6.2%増と新興国の排出量が軒並み増えたことによって世界全体の排出量は前年比で1.3%減にとどまったそうです。

人々の関心も高く、エコへの取り組みについては日常生活の中に定着しつつあるといえます。このような社会的な盛り上がりを受けてとうとうCO2排出権取引を個人でもできるようになりそうです。システムを開発したのは凸版印刷、日本ユニシス、国立情報学研究所で、システムの内容としては排出権を付加した「カーボンオフセット(相殺)」型の商品を購入すると、ポイントのような感覚で排出権を得られ、寄付したり売却したりできるようになるのです。

これまでもカーボンオフセットをセットにした商品は数多くありました。しかしそれらはメーカーが国などに寄付するという約束だけであり、購入した個人は排出権を自由に扱うことはできませんでした。メーカーとしても社会貢献活動の一環という要素が非常に大きかったのです。今回個人が排出権を得て、自由に扱うことができるようになることから、今まで以上に高い関心をもって接することができるようになると思います。

排出権の流れですが、まずメーカーは排出枠の規模などの情報をICタグやQRコードとして商品に表示します。消費者は小売店の店頭で排出権取引口座を開設し、購入した商品についているICタグやQRコードを読み込むことによってメーカーから口座に振り込まれる仕組みです。

この仕組みは早ければ2011年2月から実証実験を開始し、2012年度には実用化される見通しとなっています。これによって、社会貢献活動として参加していたカーボンオフセット商品の購入も、実利を伴って積極的に参加することができるようになることから、まさに一石二鳥の施策といえるのではないでしょうか。早期に実現して欲しいと思います。

【参考】日本経済新聞 2010/11/25

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(2008/10)
みずほ情報総研

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